有痛性偽関節の病態解明と治療標的の探索

2022 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K09252
• Research Institution: Kochi University
• Principal Investigator: 池内 昌彦 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00372730)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 偽関節 / 骨折 / 疼痛

Outline of Annual Research Achievements

本研究では有痛性偽関節の治療法の確立を念頭に有痛性偽関節と無症候性偽関節の病態の違いについて動物実験を通して解明することを目標としている。実験の概要として、まずは段階的な不安定性を有する偽関節モデルを作成し、疼痛行動評価を観察し、偽関節及び不安定性による疼痛について評価する。次に脊髄後根神経節の疼痛関連分子を免疫組織学的に評価し、偽関節の神経分布及びその特性を解明する。そして偽関節モデルに対して抗NGF抗体、抗CGRP抗体を投与し、疼痛行動評価し、治療効果の検討を予定している。
まずは骨折モデル確立のため骨折部の安定性の差異で安定モデル及び不安定モデルを検討した。骨折部の安定モデルとしてプレート及びバイスクリュー4本での固定を行ったところ6週間での骨癒合を認め、偽関節群はラバーシートを挿入することで骨折部の転位なく6週間の偽関節を認めていた。しかし、不安定モデルではプレートとスクリュー2本固定、プレート、スクリュー2本と縫合糸での締結モデルなどを作成したが、不安定性が強く骨癒合を認めなかった。プレートとバイコーティカルスクリュー3本固定及びプレートとバイコーティカルスクリュー2本とユニコーティカルスクリュー2本のモデルでは骨癒合傾向を認め、不安定モデルとしての可能性が示された。また摘出した大腿骨をプレート固定し、３点曲げ試験を行い固定力の力学的評価を行い、バイコーティカルスクリュー4本での固定した群とバイコーティカルスクリュー2本とユニコーティカルスクリュー2本での固定した群を比較すると統計学的に有意にバイコーティカルスクリュー4本固定群で剛性が高いことがわかった。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

初年度に偽関節モデルを完成する予定であったが、2年目の本年度も偽関節モデルの作成に時間を要した。その理由は、モデル作成の再現性を高めるために小動物用のプレートシステムを使用することに変更したためである。結果、定量的にも固定性を評価可能でかつ再現性の高い偽関節モデルの作成に成功した。

Strategy for Future Research Activity

今後はバイコーティカルスクリュー4本固定を安定群、バイコーティカルスクリュー2本とユニコーティカルスクリュー2本固定の不安定群としたモデルでの検討を行っていく。そして術後２週ごとの荷重分布による疼痛動評価及び脊髄後根神経節のCGRPの局在の検討や術後瘢痕組織のELISA法での疼痛関連分子の測定などの免疫組織学的評価を行い、不安定性及び骨癒合での違いを検討する。また偽関節モデルに対しての抗体製剤投与を予定している。今後の研究のため実験動物、動物用プレート、皮質骨スクリューの追加購入及び免疫染色の試薬、荷重分布測定装置のセンサー、抗体製剤の購入等を予定している。

Causes of Carryover

当初作成しようとしたモデルでは再現性に問題があり、固定方法を変更する必要があった。このため次年度使用額が生じた。モデル変更に伴い、実験動物、動物用プレート、皮質骨スクリューの追加購入が必要である。また最終年度には免疫染色の試薬、荷重分布測定装置のセンサー、抗体製剤の購入等を予定している。