2021 Fiscal Year Research-status Report
血液神経関門の保護に着目した、神経伸長に伴う疼痛に対する新規薬物療法の開発
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21K09262
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
横田 淳司 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (10449564)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 末梢神経 / 神経伸長損傷 / 疼痛 / 血液神経関門 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、当初は2022年度に行う予定となっていた急性延長ラットによる実験を先行して行った。具体的には、ラット大腿骨に骨延長器を全身麻酔下に装着し、実験群にはベバシズマブを、対照群には生理食塩水を経静脈的に単回投与した後、1分間かけて大腿骨を10mm延長し、坐骨神経を急性伸長した。術後1,3,5,7,10,14日後にラットの歩行状態を観察し、von Frey testによる行動評価を行い疼痛閾値の推移を調べた。その結果、ベバシズマブ投与ラットでは術直後より膝を屈曲して歩行する傾向を認めたが、対照群ラットは膝を伸展して歩行し、これは坐骨神経にこれ以上伸展ストレスを加えないようにする逃避行動の一つと考えた。von Frey testではベバシズマブ投与により疼痛閾値の低下が抑制された。組織学的検討としてFITC-dextranを静注後、摘出した坐骨神経の凍結切片を作製し、共焦点レーザ顕微鏡で観察すると、対照群で認められたFITC-dextranの神経内漏出がベバシズマブ投与で抑制されていた。以上の結果より、坐骨神経急性延長ラットに対してベバシズマブを投与すると、伸長による血液神経関門の機能が維持されることで、神経内浮腫が起こらず、神経の恒常性が維持されたと考えられた。加えて、急性伸長ラットを用いた評価では神経切断後の自食行為(Autotomy) も調べたが、実験群、対照群共に自食行為は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
急性伸長モデルラットによる実験結果では、研究仮説の通り薬物投与による効果を認めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初本年度に行う予定であった坐骨神経慢性伸長ラットを用いた研究を行う。次年度より大学院生が実験遂行に加わるため、研究がさらに推進されると期待できる。
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Causes of Carryover |
本年度に施行しなかったPCR 等の実験を次年度に繰り越して施行するため、それに予定していた消耗品等の経費を次年度に使用することとした。
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