2021 Fiscal Year Research-status Report
Creation of mesenchymal stem cells using transdifferentiation and undifferentiated induction by the transcription factor TWIST1
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21K09263
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
森 樹史 近畿大学, ライフサイエンス研究所, 助手 (40760492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺村 岳士 近畿大学, 大学病院, 准教授 (40460901)
竹原 俊幸 近畿大学, 大学病院, 助教 (60580561)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / Twist1 / 幹細胞性(ステムネス) |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell : MSC、stromal stem cell)は骨髄や脂肪などから分離される組織幹細胞であり、優れたサイトカイン産生能力と分化能を有する事から様々な疾患に対する再生医療材料としての期待が高まっている。一方で、多能性幹細胞とは異なり、ドナー年齢や細胞の継代数などにより劣化しやすく、維持・供給が安定しないという課題がある。また、品質を評価するマーカーが存在しないため、供給された細胞の品質がばらつくという問題も抱えている。申請者らは、転写因子Twist1がMSCの幹細胞性に極めて重要な分子であり、MSCの性能を評価する上で有用であることを発見している。体内において、MSCは骨髄、脂肪組織、筋組織等の血管周囲や間質に見られる。体外培養時と同様、体内においてもMSCは加齢や炎症などストレスの影響を受けるため、若齢患者から得られるMSCと高齢患者から得られるMSCでは性質、品質が全く異なることがわかってきている。一方で、体内に存在するMSCは、存在場所、ストレス蓄積量、それまでの分裂回数など複数の要素によってその品質が非常にヘテロな状態になっており、たとえ高齢ドナーであっても適した細胞マーカーに基づき評価分別できれば、より高い治療効果を安定的に得られると考えられる。本研究では、同知見を有用な医療技術として発展させる為、Twist1を操作しヒトMSCの作製・評価を目的として行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるMSCにおけるTwist1の幹細胞性の解明において、生体内における間葉系幹細胞の動向や機能の詳細な探索は必要な事項であると考える。そこでマウスを用いて間葉系幹細胞におけるTwist1「役割・機能」についての検証を行なった。Twist1は抗炎症作用の遺伝子であることが知られている。そこで我々は、肺炎症モデルマウスとTwist1恒常的発現MSC株の作製を試み、Twist1を発現しているMSCが肺炎症に対しどの様な影響を与えるのか検討した。始めに、初期に強い炎症を伴い線維化を誘発するBLM(bleomycin:BLM)を用いた肺炎症モデルマウスの作製を試みた。投与後から肺の回収までに三日間、七日間、十四日間と段階を経て炎症作用の比較を行なった。その後、炎症性関連遺伝子であるIL-6、TNF-α、TGF-β、そして炎症性サイトカインの刺激により見出される遺伝子としてMCP1の遺伝子発現解析を行なった。その結果、BLM投与マウスでは炎症性関連遺伝子の発現量は上昇しており、本実験において肺炎症モデルマウスとして使用できることが確認できた。次にセンダイウイルスベクター(SeVdp)-Twist1を用いて初代MSCに遺伝子導入を行い恒常的Twist1発現MSCの作製を行った。作製した恒常的Twist1発現GFP-MSCを用いてBLMモデルマウスの尾静脈から移植を行い、マウスの炎症においてどれだけの効果があるのか検討した。また、肺の炎症により誘発される肺線維化の作用において、炎症の進行を抑制できれば線維化の進行も抑制できると考えCol1A1及びCol5A1の遺伝子発現量の比較も行い、線維化の進行の違いも検討している。線維化の更なる証明のため、切片作製を行い特殊染色による形態学的な変化も観察中である。
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Strategy for Future Research Activity |
移植実験によるマウスの個体差が生じている為、実験回数を増やしてデータの信憑性を上げる必要がある。また、マウス尾静脈への細胞移植について、細胞数による抗炎症効果の違いが見られる可能性もあるので追って検証が必要である。 今後の研究の目的として、Twsit1を用いた幹細胞性誘導を真に有用な医療技術として発展させるため、MSCのマーカーとしての利用、および制御可能な技術としての再開発、およびそのために必要な知見の集取を行うこととしている。 Twsit1による間葉系幹細胞の幹細胞性誘導という知見の実用化を目指した研究としてTwsit1と強く相関する細胞表面抗原の同定及び遺伝子治療用 ベクターを用いたTwist1の導入と正常な幹細胞の誘導について行なっていく。 更に、本研究目的の一つである細胞表面抗原の同定における方法としてTwist1強制発現細胞株/コントロール株、Twist1強発現/低発現MSCより膜分画を分離し、質量分析によりTwist1の発現と相関する 膜タンパク質Xを同定する。これに対する抗体を用い、X強/弱によるMSCの分化・増殖能力を観察することで、新規マーカーを提案してく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究を行う上で必要となるデータを取る為、引き続き実験遂行中でありその解析の為に必要な経費となってくる為次年度使用額が発生する。マウスへの移植実験及び、培養に関する物品の為の必要経費として使用予定である
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