2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the familial occurrence and genetic factors of the thickening of ligamentum flavum in lumbar spinal stenosis
Project/Area Number |
21K09266
|
Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
松井 寛樹 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (70612802)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 研 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 運動器疾患研究部, 部長 (10342966)
酒井 義人 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (70378107)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 腰部脊柱管狭窄症 / 黄色靱帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
腰部脊柱管狭窄症において重要な病態の一つである黄色靱帯肥厚の機序解明を目的として、加齢変性によらない靱帯肥厚の要因を評価した。1,000例を超える腰部脊柱管狭窄症例の黄色靱帯を画像的にMRIで評価し、力学的影響の受けにくいと考えられるL1/2高位の黄色靱帯肥厚を統計学的解析から数学的cut-off値を決定することを研究計画とした。黄色靱帯面積を脊柱管面積で除したFlavum-canal ratio(FCR)の若年成人平均値(YAM)における年齢設定を決定するため、1,086名(男性616例、女性475例、平均年齢37.9±9.7歳)の50歳以下の若年者データを解析評価した結果、平均FCR=0.101、標準偏差(SD)=0.038であり、YAM+2SD値が0.177となり、これをL1/2黄色靱帯肥厚のcut off値として算出した。この値より求めた腰部脊柱管狭窄症患者1,463例における上位腰椎黄色靱帯肥厚の割合は、595例(40.7%)であったが、そのうち最狭窄部の黄色靱帯肥厚を伴わない上位腰椎黄色靱帯肥厚は216例であり、全体の14.8%が加齢変性による靱帯肥厚を認めないHereditary Stenosisと考えられた。またL3,/4,4/5,5/sといった下位腰椎では黄色靱帯肥厚と年齢が有意な相関を示すのに対して、L1/2では年齢との相関は認めなかった。これらHereditary Stenosisの定義を基に、1,463例の腰部脊柱管狭窄症患者に対して行った解析では血液生化学所見、体組成、脊椎アライメントにおいて有意な臨床所見を有していなかった。すなわちL1/2黄色靱帯肥厚は加齢に関係なく、変性の影響も受けない病態であると考えられた。
|