2021 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷後疼痛におけるN型電位依存性Ca2+チャネルの役割と新規急性期治療の開発
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21K09272
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大橋 正幸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70706720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 洋 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00262436)
大橋 宣子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70706712)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 疼痛 / 脊髄保護療法 / 電位依存性カルシウムチャネル / アロディニア |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷は受傷時の脊髄への機械的損傷と、それに引き続く二次損傷により障害が重篤化することが知られている。二次障害においては細胞内Ca2+濃度上昇を伴う興奮毒性が関与しており、特にN型電位依存性Ca2+チャネルが重要な役割を担っている。そこで、ラット不全脊髄損傷モデルを用いて、脊髄損傷後急性期におけるN型電位依存性Ca2+チャネルの役割を運動および知覚機能の両面から解析した。脊髄損傷後4時間でN型電位依存性Ca2+チャネル阻害薬であるω-conotoxin MVIIAをくも膜下投与し、後肢運動機能 (Basso-Beattie-Bresnahan (BBB) score)と痛覚過敏 (von Frey test)を対照群と比較した。脊髄圧挫損傷を200kdyで加えた場合、後肢運動機能は損傷後3日の時点では投与群で有意にBBBスコアが高かったが、損傷後7日、14日では有意差を認めなかった。圧挫損傷100kdyでは、後肢運動機能は損傷後2日目を除いて損傷後1~7日まで投与群で有意にBBBスコアが高かったが、損傷後14日では有意差を認めなかった。また、von Frey testでは、損傷後14日の疼痛閾値は投与群で有意に高かった。以上から、脊髄損傷後急性期治療としてのN型電位依存性Ca2+チャネル阻害薬の有用性が、運動・知覚の両面から示唆された。一方で、運動機能に関しては損傷後1週間以降は投与群と対照群で有意差を認めなくなっており、次年度以降、複数回投与の効果についても検討予定である。また、本薬剤の効果について、電気生理学的実験、免疫組織学的実験、およびカルシウムイメージングにより多角的に検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脊髄損傷モデル作成に用いるインパクターの故障で、実験に遅れが生じた時期があった。また、カルシウムイメージングに使用する薬剤の変更に伴い、実験のための調整に時間を要した。現在、いずれも解消されており、実験は特に支障なく進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット脊髄損傷モデルを用いて、行動学的実験によりN型電位依存性Ca2+チャネル阻害薬のくも膜下単回投与の運動・知覚機能に対する有効性が示唆された。今後は電気生理学的実験、免疫組織化学的実験、カルシウムイメージングを用いて、同薬剤の効果を多角的に証明していく。また、単回投与のみならず複数回投与による効果増大の有無、濃度の増減による効果の違いも検討していく。
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Causes of Carryover |
カルシウムイメージング装置の調整に時間を要し、予定していた実験が行えなかったため。次年度でカルシウムイメージングを再開する準備は整っており、その際に使用予定である。
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