2023 Fiscal Year Annual Research Report
脊柱靱帯骨化症に対する新しい骨化抑制療法に向けたエピジェネティクス解析
Project/Area Number |
21K09276
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
彌山 峰史 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (60362042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 幹士 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (30467386)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 後縦靱帯骨化症 / 黄色靱帯骨化症 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / microRNA / サイトカイン解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊柱靱帯骨化症(後縦靭帯骨化症: OPLL、黄色靭帯骨化症: OLF)は重篤な脊髄症状を生じる疾患であるが、本症に対する治療は神経症状への対症療法や外科的骨化切除術に限られており、疾患の発生、進行を抑制する根治的な治療法は未だ確立されていないため、個々の病態に応じた新しい治療法の開発が求められている。本症には遺伝的背景が深く関与することが報告されているが、退行性変化、代謝性疾患、生活環境因子などの後天的素因も指摘されている。 エピジェネティクス修飾はDNAの1次構造に影響を与えずに遺伝子発現を変化させるものであり、種々の環境要因の刺激により後天的に引き起こされ、DNAメチル化、ヒストン修飾、非翻訳性RNAが挙げられる。本研究は、脊柱靭帯骨化症におけるDNAメチル化の影響について解析することを目的とした。 令和3-4年度の研究では、組織学的検討において骨化前線の間葉系細胞、軟骨細胞にanti 5-hydroxy-methylated-cytosin (5-hmC)の強い発現があり、DNAメチル化が強く作用する細胞であることが観察できた。さらに脊柱靭帯骨化由来の培養細胞について網羅的DNAメチル化解析を行った結果、468,119種のプローブが抽出され、p<0.01、メチル化率>25%を条件とすると648(0.138%)種が挙げられ、このうち60.5%がメチル化、39.5%が脱メチル化を生じていた。令和5年度では、網羅的DNAメチル化の解析を進め、これらの有意プローブの標的遺伝子は骨芽細胞分化、新生血管形成、サイトカイン、プロテオグリカン産生といった過程に関与し、OPLLの病態を形成することが示唆された。今後はそれぞれの標的遺伝子に関連するタンパク質の発現変化や、パスウェイ解析によるシグナル伝達の関与などに着目し、研究を発展していく計画である。
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