2023 Fiscal Year Research-status Report
変形性足関節症におけるCCN3を介した新たな軟骨細胞老化制御機構の解明
Project/Area Number |
21K09280
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
雑賀 建多 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (30452577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 高子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00228488)
中田 英二 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10649304)
二川 摩周 岡山大学, 大学病院, 技術職員 (10851636)
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40294459)
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90221936)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軟骨 / 足関節 / CCN3 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性足関節症は痛みや歩行障害により日常生活動作に大きな支障をきたす。我々はOA関連遺伝子の探索を行い、軟骨組織の発生・分化・再生過程において多様な生理機能を持つCellular Communication Network Factor (CCN)フ ァミリー遺伝子のうち、CCN3がヒトから得られた関節軟骨細胞で加齢とともに有意に増加していることを認めた。また、酸化ストレス刺激により老化を誘導した軟骨細胞でCCN3 発現の上昇を認めた。そこで、これらの結果をもとに足関節においてCCN3が軟骨細胞の老化によるOAを促進するか検討し、足関節の軟骨細胞において、CCN3を介した加齢性変性に対する分子メカニズムを解明することを目的とした。 令和4年度は、並行して行なってきた股関節軟骨研究の論文が完成した。すなわち、人工股関節置換術を受けた患者から得たヒト大腿骨頭を、年齢差なくOA群と大腿骨頚部骨折群(正常群)に分類した。大腿骨頭軟骨から得られたRNAの遺伝子発現解析の結果、非荷重部のCCN3の発現量はOA群で正常群に比べ有意に高かったが、荷重部のOA部と正常軟骨ではこれらの遺伝子発現に有意差はみられなかった。年齢や機械的負荷に関係なく、OAの変性変化とCCN3の発現との間に相関関係が認められた。 令和5年度は、足関節のOAおよび正常軟骨組織をサンプルとしたRNA-Seqによる網羅的遺伝子発現解析を行った。2群間でのDifferentially Expressed Genes (DEGs)は1309 genesであった。DEGsのうち、正常足関節に比べてOA足関節でUp regulateされていたのは574 genesであり、正常足関節に比べてOA股関節でDown regulateされていたのは735 genesであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
足関節および股関節のOA、正常軟骨組織のRNA-Seqによる網羅的遺伝子発現解析を行なった。足関節において、OA群で発現量が変化する遺伝子は股関節に共通するものと異なるものが認められた。また、正常軟骨同士を比較すると、足関節の方が股関節より発現量が多い遺伝子がみられた。今後、これらの遺伝子を解析し、それぞれの関節によるOAの進行機序の違いやOAの進行予防因子の存在などを明らかにしていく予定であり、研究期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
変形性股関節症でCCN3が有意に上昇していたため、これまで我々がOAにおいてCCN3が上昇するという結果を支持しているものだと考えられた。OA群の非荷重部においてCCN3が有意に上昇し、荷重部においては両群間に有意差は認めなかった。また、全ての結果において年齢との相関も認めなかったことより、荷重に伴うメカニカルストレスや年齢に関与することなく変形性股関節症においてCCN3が変形性股関節症の発症に関与することが考えられた。 足関節および股関節のOA、正常軟骨組織をサンプルとしたRNA-Seqによる網羅的遺伝子発現解析において、正常軟骨同士また、足関節OAと股関節OAでは発現する遺伝子に違いがみられた。今後、これらの遺伝子を解析し、それぞれの関節によるOAの進行機序の違いやOAの進行予防因子の存在などを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
研究遂行上、足関節軟骨研究を次年度実施することとなり、その費用に充当する。
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