2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the pathogenesis of acetabular dysplasia focusing on functional pelvic tilt and establishment of a bone morphology correction algorithm
Project/Area Number |
21K09281
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤井 政徳 佐賀大学, 医学部, 講師 (00805351)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 寛骨臼形成不全 / 有限要素法 / 骨盤矯正骨切り術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は昨年から継続して、本研究課題の3つのテーマの一つである、理想的な骨形態・股関節応力となる矯正アルゴリズムの計画方法を確立することを目的に、CTを用いた三次元的骨形態学的解析、有限要素法を用いた生体力学的解析を行なった 。今年度は実際に寛骨臼移動術を施行した患者について、有限要素法を用いて手術前後の股関節接触圧力の変化を解析したところ、98%の患者で術後接触圧力は減少し、65%で正常範囲となったことを明らかにした。また、術後も関節接触圧力が改善しない症例の特徴として、骨頭変形、術後の前方被覆が不足している、といった特徴を明らかにした。これらの所見は症例選択や理想的な矯正骨切り術を計画する上で有用な所見である。これらの結果を国内外の学会や英文雑誌に報告した。また、骨盤矯正骨切り術のシミュレーション研究については、臥位/立位骨盤X線と骨盤CTを用いて、患者固有の骨盤傾斜を再現した上で股関節の3D surface modelを作成し、model上で矢状面・冠状面を組み合わせた多平面での寛骨臼の位置補正を行い、股関節の接触圧力分布にどのように影響するかを有限要素法を用いて解析した。1症例について12パターンの矯正を行い、現時点では寛骨臼骨片をLateral center-edge角を30-35°に矯正し、かつ前方に15°回転した場合に最も股関節接触圧力が正常化する割合が多いことが明らかとなっている。冠状面の矯正に関しては、個々の症例で最適な矯正量が異なること、骨頭変形が矯正後の股関節接触圧力に影響することを明らかにした。今後は本研究で行っている骨盤矯正骨切り術のbiomechanics-based planning法を改良して、矯正アルゴリズムを確立し、実臨床の骨盤矯正骨切り術の術前計画へ応用することを目指している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の当初の研究計画において、テーマの一つであった理想的な骨形態・股関節応力となる矯正アルゴリズムの計画方法を確立する、CTを用いた三次元的骨形態学的解析、有限要素法を用いた生体力学的解析を行なった 。研究者の所属移動やCOVID19の流行の影響により、骨モデルの作成、有限要素法の解析条件の確立・実際の解析に当初の予定に比べ若干時間を要している。しかしながら、当該年度中に行った解析結果を取りまとめ、国内外の学会において発表及び研究論文として学術雑誌に発表ができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き本研究課題では、実際骨盤矯正骨切り術を施行した寛骨臼形成不全患者の術後C Tを用いて、術後の股関節の生体力学的環境の評価と実際の患者の症状や予後との関連の評価を進めていく。これにより、本研究で行っている生態力学的解析法が実臨床へ応用する上での有用性を確認できると考えている。また、本研究課題の他のテーマである、股関節内の応力分布と関節内病変の部位・重症度との関連、手術計画を再現する上でのナビゲーションの有用性に関する研究も並行して進めていく。
|
Causes of Carryover |
COVID19の流行や研究者の所属異動の影響により、骨モデルの作成、有限要素法の解析条件・方法の確立に当初の予定に比べ若干時間を要しており、また、国内外の関連学会における発表や、情報収集活動、ひいては学術雑誌への投稿、報告に支障が出たため、次年度使用額が生じた。 使用計画については、元々使用を予定していた、学会参加に伴う旅費等の諸費用、学術雑誌へ投稿する際の英文校正料、投稿料、また解析ソフトウェアの更新費用などに使用する予定である。
|