2023 Fiscal Year Research-status Report
難治性SPACIA1依存的関節リウマチのバイオマーカー探索と薬剤標的の検討
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21K09286
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤井 亮爾 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 准教授 (10333535)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / コラーゲン誘導関節炎 / SPACIA1 / CDK6 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で同定した関節リウマチ(RA)滑膜細胞(RASF)増殖に関わる新規因子SPACIA1の発現抑制がG1期細胞周期因子CDK6を介してTNFα誘導性滑膜線維芽細胞増殖を顕著に抑制することをすでに報告してきた。G1期細胞周期因子CDK6とそのパラログであるCDK4は、少なくとも乳がんや造血系においてお互いにその機能を補償しあうが、この相互補償が機能しない場合もあり、RASF増殖もそうであることを実証してきた。本研究計画ではこれまでに、CDK6遺伝子のみの発現抑制がRASFのRB蛋白リン酸化、RASF増殖を抑制すること、CDK6欠損マウスがRA動物モデルのコラーゲン誘導関節炎(CIA)をほぼ発症しないこと、CDK6選択的阻害剤はCDK4も阻害してしまう乳がん治療薬(パルボシクリブ)と同等にRASFのRB蛋白リン酸化、細胞増殖を抑制し、マウスへの投与はCIAを顕著に抑制したことを明らかにしてきた。2023年度は、CDK6欠損マウスにCIAを適用した場合、血球数に有意な変化は認められないが、抗体生産能が有意に低下すること、CIAマウスにCDK6阻害剤を投与した場合には、血球数、抗体生産ともに有意な変化は認めないことを明らかにした。以上の成果を論文にまとめ投稿中である。残る課題の「SPACIA1遺伝子欠損と生物学的製剤の効果検証」についても検討を重ねてきたが、SPACIA1欠損に起因するCIA 関節炎抑制効果をTNFα阻害薬が有意に増強することは今のところ観察されていない。SPACIA1欠損もTNFα阻害薬も中程度にCDK6遺伝子発現を抑制することから、両者の相加効果はあまり高くないのかもしれない。つまり、RASF増殖を標的とする場合、SPACIA1よりもCDK6を直接阻害すべきだと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた検討課題はほぼ終了したが、論文投稿に遅れが出ている。査読者からのコメントに応えるための追加実験などを令和6年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿論文の査読者からのコメントが得られ次第、追加実験を行ってリバイスを行う予定。
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Causes of Carryover |
研究成果を公表する論文投稿に遅れがあり令和6年度に持ち越すことになった。論文投稿費用や追加実験の費用が必要であるため次年度使用額が生じた。
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