2021 Fiscal Year Research-status Report
骨肉腫の足場依存的な肺内増殖メカニズムの解明と肺転移抑制療法への応用
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21K09290
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Research Institution | 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所) |
Principal Investigator |
由井 理洋 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所), 研究所, 主任研究員 (20547757)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CRISPR活性化スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
骨肉腫の肺転移の初期段階である肺生着メカニズムの全容を解明するために研究を進めている。本年度は、肺のような軟らかい環境で骨肉腫細胞が増殖するメカニズムを明らかにするためにRNA-seq解析を行なった。高肺転移株LM8と低肺転移株Dunnのそれぞれ硬い環境と軟らかい環境での発現遺伝子の差異を解析した。主成分分析、クラスタリング解析では、LM8とDunnの遺伝子発現パターンの違いの方が、環境の違いによる発現パターンの違いより大きいことが判明した。これは、骨肉腫細胞株間で遺伝子発現パターンが大きく異なっているという、これまでの報告に一致する結果である。また、申請者はこれまでに骨肉腫の高肺転移性とRho family GTPasesのCdc42活性の関係を報告しているが、遺伝子解析の結果も同様の傾向を示している。今後は、Cdc42の上流、下流のシグナル経路の解析から高肺転移性や軟らかい環境での増殖促進メカニズムを明らかにできる可能性がある。また、他にもいくつか有望なパスウェイが明らかになっている。さらに、計画にあるCRISPR活性化スクリーニング解析を行うために骨肉腫細胞に遺伝子導入を行なっている段階である。当初、ウィルス感染効率が低くウィルス感染による遺伝子導入がうまくいかなかったが、ウィルス濃縮法などの改良を経て、CRISPRシステムの導入まで終了している。今後は、sgRNAの導入を行い、動物実験に進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPR活性化スクリーニングは、遺伝子導入過程で若干の遅れが出ている。しかし、CRISPR活性化スクリーニング解析を補完するRNA-seq解析が順調に遂行できたため、プロジェクト全体としては概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、CRISPR活性化スクリーニングを行うべく、スクリーニング遺伝子導入細胞による動物実験を行う。マウスにスクリーニング遺伝子導入細胞を尾静注し、肺で増殖した細胞から回収した遺伝子について次世代シーケンサーによる解析を行う。また、RNA-seq解析とCRISPR活性化スクリーニング解析を補完するための生物学的アプローチとして、Rho-GTPaseと軟らかい環境での増殖の関連についても検証する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、RNA-seqのデータ解析とともに、実績欄にある論文投稿が重なったためである。本年度の主な助成金の使用は、CRISPR活性化スクリーニングのためにマウスを購入し、さらに次世代シーケンサーによる解析を行うことである。さらに、RNA-seq解析より導き出された種々のシグナル経路の確認のために、遺伝子導入実験やタンパク質発現解析など分子生物学的実験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)