2023 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of pathogenesis, and development of therapeutic method for ossification of posterior longitudinal ligament recognized among inherited FGF23-related hypophosphatemic rickets/osteomalacia
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21K09293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊東 伸朗 東京大学, 医学部大学院医学系研究科, 特任准教授 (10731862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 文子 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (80529040)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | FGF23 / X連鎖性低リン血症性くる病 / 後縦靭帯骨化症 / 腱付着部症 / くる病 / 骨軟化症 / 低リン血症 / 異所性骨化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
X連鎖性低リン血症性くる病:X-linked hypophosphatemic ricketsは遺伝性のFGF23関連低リン血症性くる病である。XLHでは成熟骨細胞がPHEX遺伝子の機能喪失型バリアントにより血中リン濃度の感知閾値が低下し、FGF23の過剰分泌がおこり慢性低リン血症となり、骨石灰化障害が起きるため、成長期の低身長や下肢の変形、また偽骨折や骨折、歯髄炎、歯膿瘍などを惹起する。さらに他の低リン血症性くる病・骨軟化症や、他のFGF23関連疾患と異なり、XLHでは傍脊柱靭帯骨化症や股関節周囲、アキレス腱などの全身の腱付着部症を惹起し、骨化時の疼痛や、可動域制限、脊髄圧迫症上などを生じ患者のQOLを著しく下げている。しかしXLHでのこれらの全身性異所性骨化症の病因は未だ明らかでない。そこで、まず我々は当院通院中の成人XLH症例25例での靱帯骨化症の頻度を確認した。結果として後縦靭帯骨化症の頻度は約32%、アキレス腱の腱付着部症は72%であり、XLHでは明らかに全身の腱付着部での骨化が促進されていることが明らかとなった(J Clin Endocrinol Metab. 2021 Aug 18;106(9):e3682-e3692)。次に当院通院中の成人XLH症例30例において、治療開始時期の靱帯骨化症への影響を確認した。5歳未満に治療を開始した症例は5歳以上で治療を開始した症例と比べて有意に少なく、早期治療による骨軟化症への効果が確認できたが、後縦靭帯骨化症はいずれの群も30%と変化がなく、やはりXLHにおける全身の靱帯骨化症はくる病・骨軟化症とは独立した病因をもつものであると確信した(J Clin Endocrinol Metab. 2023 May 17;108(6):1405-1414)。今後はXLHでの靱帯骨化症発症の分子メカニズムを解明していく予定である。
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