2021 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームの半月板再生における作用機序の解明と遺伝子改変による組織再生能の増強
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21K09307
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
片桐 洋樹 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50795028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮武 和正 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座講師 (00777435)
辻 邦和 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, ジョイントリサーチ講座教授 (20323694)
古賀 英之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30594080)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 半月板再生 / 作用機序の解明 / 間葉系幹細胞 / 細胞外小胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織幹細胞、特に間葉系幹細胞を使用した再生医療は急速に発展している。その作用機序と考えられる間葉系幹細胞から放出される間葉系幹細胞由来細胞外小胞は、組織再生医療への応用が期待されている。しかし、半月板修復に対するM間葉系幹細胞由来細胞外小胞の効果を検証した報告は未だない。本研究の目的は、マウス半月板切除モデルにおける間葉系幹細胞由来細胞外小胞の関節内投与による半月板修復能を評価する事と、間葉系幹細胞由来細胞外小胞による半月板修復のメカニズムを解明することである。マウス半月板切除モデルにおいて、関節内への間葉系幹細胞由来細胞外小胞の投与は再生半月板内の細胞を増殖させ、半月板の修復を促進させた。間葉系幹細胞由来細胞外小胞による半月板再生のメカニズムを明らかにするために、間葉系幹細胞由来細胞外小胞を軟骨細胞と滑膜間葉系幹細胞に投与しIn Vitroでの細胞増殖能と遊走能の評価を行った。間葉系幹細胞由来細胞外小胞は軟骨細胞と滑膜間葉系幹細胞の増殖能、遊走能を向上させた。これらのメカニズムを解明するために、RNAシークエンス(RNA-seq)を行った。間葉系幹細胞由来細胞外小胞は、軟骨細胞において168個の発現変動遺伝子を誘導し、軟骨細胞と滑膜MSCsにおいてCXCL5とCXCL6に関連する遺伝子発現を有意に上昇させた 上記結果に基づき、CXCL5/6のシグナル経路をそれぞれ阻害した。ERKシグナル阻害にてCXCL5/6の低下、増殖能と遊走能の低下を認めた。同様にCXCL5/6のレセプターのCXCR2の阻害にて増殖能,遊走能は低下した。本結果より、CXCL5/6はエクソソームによりERKシグナルを介し発現し細胞増殖・遊走能を増強していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。 RNAシークエンス研究における、間葉系幹細胞由来細胞外小胞添加MSCsよりRNAを抽出する際に既定の量のRNAを抽出する、条件検討にやや期間を要したが、その他の実験においては概ね順調に進んだ。RNAシークエンス網羅的データに対する、バイオインフォマティクス解析では一定の期間を要したが、概ね予想の範囲内であった。CXCL5/6のシグナル経路をそれぞれ阻害実験においても概ね予想の範囲内であった。 総合的には当初予定した研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は研究計画通り以下の実験を行う予定です。 〇エクソソームの組織再生での発現変動因子の作用機序in vivo ・蛍光染色したDilエクソソームを用いて再生組織内での取り込みの場所を特定し、CXCL5/6・PCNA等のハイブリダイゼーションを行い、作用部位を同定する。・半月板切除+エクソソーム投与モデルにERKシグナル阻害剤、リコンビナントCXCL5/6、CXCR2アンタゴニストを投与し、組織再生、細胞増殖能を評価する。期待される結果:CXCL5/6の発現阻害により細胞増殖、組織再生が低下しリコンビナントCXCL5/6の投与により細胞増殖・組織再生能が増強する。 〇エクソソームによる半月板再生における組織幹細胞の経時的動態解析 ・半月板切除+エクソソーム投与モデルに細胞分裂時のDNAをラベルするチミジン・アナログ蛍光染色剤(2-1準備状況の項)を投与することにより、エクソソームにより細胞増殖した細胞の再生組織内での動態を経時的に評価する。期待される結果:関節内特定部位内(滑膜を想定)の組織幹細胞へのエクソソームの取り込み、細胞増殖がおき、同染色性を保持した細胞が損傷部へ移動し、半月板の再生が生じる。
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Causes of Carryover |
研究は順調に進捗したが、コロナによる影響で一部行えなかった実験があり、当初予定の研究を行わなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に本年度予定していた、実験を行う為の必要経費を次年度使用額として算出した。
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[Journal Article] RE: Onuma H, Tsuji K, Hoshino T, Inomata K, Udo M, Nakagawa Y, Katagiri H, Miyatake K, Watanabe T, Sekiya I, Muneta T, Koga H. Fibrotic changes in the infrapatellar fat pad induce new vessel formation and sensory nerve fiber endings that associate prolonged pain. J Orthop Res. 2020 Jun;38(6):1296?1306.2021
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[Presentation] 内側開大型高位脛骨骨切り術(OWHTO)におけるスポーツパフォーマンスに与える影響因子の検討2021
Author(s)
塩田 幹夫、古賀 英之, 中村 智祐, 片桐 洋樹, 中川 裕介, 大原 敏之, 河野 佑二, 雨宮 正樹, 安 宰成, 柳下 和慶, 関矢 一郎, 大川 淳
Organizer
第94回日本整形外科学会学術総会