2023 Fiscal Year Research-status Report
細菌の病原性遺伝子の発現を抑制する病原性抑制薬による人工関節感染症の治療の研究
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21K09326
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宮本 比呂志 佐賀大学, 医学部, 教授 (40229894)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 二成分制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、病原細菌の薬剤耐性化傾向から、これまでの抗菌薬とは異なる新たな創薬のターゲット分子の探索が進められている。その中で二成分制御系(two-component regulatory system: TCS )と呼ばれる細菌の情報伝達システムに注目が集まっている。TCS はヒト細胞にはなく、その阻害薬は既存薬と異なる作用で病原菌に働くため、MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)などの多剤耐性菌に有効に働く次世代型抗菌薬として期待されている。 TCS 阻害薬は従来の抗菌薬と異なり、殺菌・静菌作用を示さず、細菌の病原因子の産生やバイオフィルム形成のみを特異的に阻害する病原性抑制薬(anti-virulence agents: AV薬)として効果を発揮する。 MRSAバイオフィルムをインプラント(チタン合金)上に形成させる。このバイオフィルムに対して4種類の TCS 阻害薬、すなわちヒスチジンキナーゼ阻害薬であるThiazolidinone 誘導体、Walkmaychin B, Signermycin B, および Walrycin BのMRSAバイオフィルム阻害効果を調べた結果、Walrycin B が最もバイオフィルム阻害効果が強いことが明らかになった。 今年度は、この効果が生体内でも発揮されるか調べるための動物感染モデルの作成を行った。ラット皮下にチタン合金ディスクと銀ハイドロキシアパタイトコートしたチタン合金ディスクを埋設し、この表面上にルシフェラーゼ遺伝子を導入した黄色ブドウ球菌(X36)を感染させる in vivo 蛍光・発光システム(IVIS)を使用して経時的に皮下におけるチタン板表面のMRSAバイオフィルム形成を観察する実験系を確立した。現在、この実験モデルでWalrycin Bのバイオフィルム阻害効果を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット皮下にインプラント(チタン板)を埋設し、ブドウ球菌を感染させる動物モデルはすでに確立しているが、IVISでの観察のための条件設定(感染菌数、観察期間など)に難渋し、試行錯誤したため、再現性の高い in vivo 実験系の確立に時間を費やした。また、細菌培養装置と顕微鏡に不具合が生じて、修理のため、研究を実施できない期間があった。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット皮下にインプラントを埋設させて、ブドウ球菌を感染させる動物モデルは確立しており、IVISでの感染ラットの個体観察の条件設定は、抗菌効果が既に知られている銀・ハイドロキシアパタイトをコートしたチタン合金を使用して、実施した。今後はこの条件設定(感染菌量、観察期間など)で、Walrycin Bのバイオフィルム阻害効果をin vivo で観察する予定である。
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Causes of Carryover |
細菌・細胞培養器の修理、顕微鏡の故障のため、研究中断を余儀なくされた。また、研究試薬の購入が製造・販売元の事情で遅れているため。
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