2023 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌標的分子GGCT阻害によるグルタチオン関連分子変動の網羅的解明
Project/Area Number |
21K09342
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50378452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 圭司 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30640148)
茶野 徳宏 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40346028)
吉田 哲也 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (60510310)
窪田 成寿 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80759118)
河内 明宏 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (90240952)
草場 拓人 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90847211)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | γ-グルタミルシクロトランスフェラーゼ / グルタチオン / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
R5年度の目的: 腎癌細胞株2種を対象試料として、GGCT阻害剤Pro-GA投与による細胞内グルタチオン(GSH)および活性酸素種(ROS)を測定する。N-アセチルシステイン(NAC)または外因性GSHによる救済効果を確認する。 結果: Pro-GAを投与により濃度依存性の細胞増殖抑制効果を認めるとともに、細胞内GSHの減少とROSの増加を認めた。これにNACあるいは外因性GSHを添加することにより、細胞増殖は救済された。以上から、GGCT阻害による細胞傷害は細胞内GSHの減少からROS増加を経て細胞死に至るという機序が明らかとなった。
研究期間全体を通じた成果: ①GGCT阻害によるγ-グルタミル回路構成酵素群(GGT1、GCLM、GCLC、GSS、OPLAH1)の発現挙動を調べたところ、GGT1は細胞種により結果が不定であったが、GCLM・GCLC・GSSは発現増加、OPLAHは発現低下を示した。 ②γグルタミル回路構成酵素群およびGGCTファミリータンパク質(CHAC1,CHAC2)の発現とGGCT阻害剤の感受性を比較検討したところ、mRNA発現の程度とPro-GAのIC50値との間には特に相関は見られず、GGCT関連酵素・CHAC1・CHAC2の発現程度はPro-GAの効果予測因子とはなり得なかった。 ③腎癌細胞株をもちいて、Pro-GA投与による細胞内GSHおよびROSを測定、およびNACまたは外因性GSHによる救済効果を確認したところ、GGCT阻害による細胞傷害は細胞内GSHの減少からROS増加を経て細胞死に至るという機序が明らかとなった。 以上の研究結果から、GGCT阻害治療は細胞内のGSH産生を減じることに主たる作用を持つこと、一方、GGCT感受性をGGCT関連酵素群の多寡では予測できず、類縁酵素によるバイオマーカーを同定することが出来ないことが明らかとなった。
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