2022 Fiscal Year Research-status Report
DNA損傷応答に着目した機能喪失スクリーニングによる前立腺癌の新規治療法の開発
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21K09345
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石津谷 祐 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (00783854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 元秀 福島県立医科大学, 医学部, 特任教授 (40631015)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / DNA損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の前立腺癌細胞株(CWR22Rv1, DU145, LNCaP)を用いた機能喪失スクリーニングの結果、機能喪失によりPARP阻害剤に対する感受性が増強する遺伝子の候補として、False Discovery Rate < 0.1を満たすものは延べ9種類の遺伝子であった。これらの中には既にPARPとの合成致死性が既知であるEDC4やRNASEH2Cも含まれていた。上位200遺伝子を対象としてGene Ontology解析を行うと、相同組み換え修復よりも塩基除去修復がより濃縮されていた。 逆に機能喪失によりPARP阻害剤に耐性となる遺伝子の候補として、False Discovery Rate < 0.1を満たすものは延べ29種類の遺伝子であった。これらの中には前立腺癌の発生や進展に関連していると知られているTP53やPTENも含まれていた。 上記のスクリーニングにより得られた候補遺伝子のうち、前立腺癌組織において一定頻度で機能不全がみられるもの、または阻害剤が存在するものに特に着目し、前立腺癌細胞株を用いて個別に機能抑制を行い、PARP阻害剤に対する感受性が変化するか検証した。一部の遺伝子では機能喪失スクリーニングの結果通り、PARP阻害剤感受性が有意に増強した。一方、機能喪失スクリーニングの結果と異なり、機能抑制を行ってもPARP阻害剤感受性に変化が見られない遺伝子も複数存在した。同一のsgRNAでも細胞株によってノックアウト効率が異なることを示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機能喪失スクリーニングによって得られた候補遺伝子の中にはPARPとの合成致死性が既報のものも多く含まれていたため、新規性のある遺伝子が限られていた。また、これらを前立腺癌細胞株で個別にノックアウトしてもスクリーニング通りの結果が得られず、動物モデルを用いた実験に進めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
機能喪失スクリーニングから候補遺伝子を選定する際の基準(False Discovery Rate < 0.1)を比較的厳しく設定したため、候補遺伝子数が限られていた。基準を緩和し、より多くの遺伝子を対象として検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
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