2021 Fiscal Year Research-status Report
スタチンのMMP阻害による好中球浸潤を介した腎保護の証明
Project/Area Number |
21K09346
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉永 香澄 岡山大学, 大学病院, 医員 (70833276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 元朗 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (90467746)
城所 研吾 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50435020)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 虚血再灌流 / 好中球 / スタチン / MMP |
Outline of Annual Research Achievements |
腎移植において虚血再還流障害が移植腎の生着にもたらす影響は極めて大きい。我々は 腎虚血再灌流において好中球浸潤が主要な役割を担い、抑制により組織障害が緩和できるこ とを動物モデルで実証してきた。白血球が組織に浸潤するためにはmatrix metalloproteinases(MMP)の存在が必要不可欠である。高脂血症治療薬であるスタチンは多面的効果を有し、その1つにMMP阻害作用がある。しかし、腎虚血再灌流障害におけるMMP阻害と好中球浸潤との関連は十分に解明されていない。本研究の仮説は、“腎虚血再灌流障害において、スタチンの持つMMP阻害作用が好中球浸潤の抑制を介して組織障害を軽減する”である。本研究の立証により、新たな移植腎保護の基盤が確立される。また急性腎不全や腎腫瘍に対する腎部分切除術でも同様の病態が想定され、多岐にわたる腎疾患への応用も期待される。 本年度の研究では、マウスの腹腔内温度を37℃に保ち、両腎をクランプしたあと35分後に腎動静脈をアンクランプする形で虚血再灌流モデルマウスを作成した。次に多光子顕微鏡を用いてスタチン投与の有無による好中球浸潤の程度を比較し、定量的にではあるがスタチン投与により好中球の浸潤が抑制されることが示唆された。また、上述した腎虚血再灌流モデルマウスを用いて、スタチン投与の有無による血清および腎組織それぞれのMMP活性の相違を検証した。 今後は、これらの結果を踏まえ、血清クレアチニン値の比較や尿細管障害に関しても解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の腎虚血再灌流モデルである、腎虚血45分間は各群の差を検討するのに腎障害が強すぎるとの見解に至り、虚血時間の見直しを行った。またCOVID-19の影響で共同施設への立ち入りができず、多光子顕微鏡での観察が出来なかった期間があった。さらにMMP活性についてELISAを用いた測定を行うも、予想していた測定値よりも高値を示しうまく測定できなかった。それぞれ目下再検査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
MMP活性の測定を行い、スタチンによるMMP活性の抑制を確認する。また、腎障害の違いを好中球リアルタイムイメージングだけでなく血清クレアチニン値の経時的比較や腎への好中球浸潤度の検討も行う。腎臓のMMP局在の比較もおこなっていく。これらにより、スタチンの腎保護作用の検討をおこなう。
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Causes of Carryover |
腎虚血再灌流モデルの腎虚血時間に関して再検討を行ったため、遅延が生じた分、未使用額が生じた。今年度未使用額を令和4年度分にあてがい、引き続き研究目的の達成に向け執行する。具体的には、未使用分を用いて当初の計画に加え、スタチン投与の有無による血清および腎組織それぞれのMMP活性の相違を再度測定し、引き続き研究目的の達成に向けて執行する。
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