2021 Fiscal Year Research-status Report
上部尿路上皮癌術後経過における血中・尿中ctDNA変異遺伝子モニタリング
Project/Area Number |
21K09353
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小原 航 岩手医科大学, 医学部, 教授 (90337155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西塚 哲 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 特任教授 (50453311)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 泌尿器科学 / 上部尿路上皮癌 / バイオマーカー / ctDNA / digital PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、上部尿路上皮癌の術後経過におけるctDNAの変異遺伝子量の変化が既存の画像学的検査よりも早期に再発や転移の検出が可能であるかを検証することである。 研究対象は上部尿路上皮癌の手術症例30例を予定していたが、現在までに44例登録しており、腫瘍組織、手術前後の血液、尿サンプルを採取している。術後2年のフォローアップ、サンプル採取としているが、13例で術後2年以上経過しており、サンプル採取を終了している。 追跡する遺伝子変異の選択を目的とした腫瘍組織の遺伝子変異解析は23例で終了している。各症例において追跡する遺伝子変異を選択し、7例で手術前後の血液、尿サンプルにおいてctDNAの解析を開始しており、手術前後のctDNA変化が確認された。7例のうち5例は術前のサンプルでctDNAの検出が可能であり、術後の低下を確認した。いずれも無再発の症例だが、低値を維持して経過している。2例は術前化学療法を施行し、原発腫瘍の消失を認めた症例であったが、これらの症例では、術前のサンプルではctDNAは検出されなかった。また、そのうち1例は術後再発を認めたが、臨床的な再発診断より早期にctDNAの上昇を認めた。 以上の結果から、血中・尿中ctDNAは体内の腫瘍量と相関している可能性があり、バイオマーカーとしての妥当性があると考えられた。さらに、術後再発1例において臨床的な診断より早期にtcDNAの上昇を認めたことから、既存の画像検査よりも早期に再発の検出が可能である可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例登録は終了しており、手術前後のサンプル採取を終了している症例もおよそ3分の1で、残りの症例のサンプル採取も来年度までに終了する予定であり、サンプル採取は順調と考える。 また、腫瘍組織の遺伝子解析を23例で終了しており、手術前後の血液、尿サンプルにおけるctDNA解析も7例で開始し、手術前後の変化を確認可能であったため、ctDNA解析も順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
登録症例の術後サンプルの収集とctDNA解析を進め、術後再発、転移の早期発見が可能であるか検証する。 新規のプローブ合成が必要な症例が散見されるため、新規のプローブ合成を進め、ctDNA解析につなげる。 また、ctDNA量や手術前後の変化等が予後予測因子となりうるか検証を行う。
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Causes of Carryover |
学会がオンライン開催となり、旅費の支出がなかったため次年度利用額が生じた。 次年度は新規プローブ合成の費用が発生するため、繰越金と合わせてプローブ合成を行う予定である。
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