2023 Fiscal Year Research-status Report
腎癌におけるlong non-coding RNAの臨床的意義の解明
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21K09356
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久冨木原 良平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (40837027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00213885)
田中 伸之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60445244)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | lncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトゲノムの大部分はタンパク質のアミノ酸一次配列情報をコードしないnon-coding RNAで構成されることが判明していおり、その中で200塩基以上のものはlong non-coding RNA (lncRNA)と呼ばれている。種々の癌でlncRNAとの関連が報告されているが、まだ不十分な状況である。本研究では、分子標的治療・免疫チェックポイント阻害薬の先駆的な立場である腎癌とlncRNAの関連を調べることを目的とした。 先行研究にて、HOTAIR、TUG1、CDKN2B-AS1の3種のlncRNAにおいて腎癌予後との関連を認めており、2021年度の研究においてそれらがより核内に多く発現しているということを定量的に評価することができた。2022年度はlncRNA発現から腎癌リスクの層別化を行った。先に示した3種のlncRNAにおいて、低発現を0点、高発現を1点とし、その合計スコアからリスクを層別化したところ、無再発生存率、全生存率とも有意に関連を示した(p=0.001、0.013)。多変量解析では、我々の提唱したlncRNAリスク分類が独立した予後予測因子として示された(p=0.007、0.026)。 2023年度は腎癌検体のDNA変異と、lncRNA発現について検討を進めた。腎癌の新鮮凍結検体からDNA抽出を行い、先のlncRNAリスク分類別のDNA変異を比較した。全体としてはVHL、PBRM1、ATM、MTOR、SETD2などの変異が多く認められた。ハイリスク群においてはPI3K-mTOR経路にかかわる変異を多く認め、TP53/cell cycle経路にかかわる変異は少なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究は比較的スムーズに行うことができたが、前年度までの研究がやや遅れていたため全体として進捗状況はやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画3に基づき、同種移植マウスモデルを利用した臓器特異的な腎がんlncRNAの機能解析を進めていきたい。マウス由来腎がん細胞Rencaの尾静脈注射により作成された肺転移(Lee YJ. Cancer Res 2010)又は皮下腫瘍モデルを用いて、血管新生阻害剤あるいは免疫チェックポイント阻害剤の未治療群、治療群の2群解析から標的となるlncRNAの機能解析を予定する。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅れが生じており、同種移植マウスモデルを利用した臓器特異的な腎がんlncRNAの機能解析がなされなかった。次年度使用額は引き続き計画に沿って、マウスを用いて血管新生阻害剤あるいは免疫チェックポイント阻害剤の未治療群、治療群の2群解析から標的となるlncRNAの機能解析を行っていく。
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