2021 Fiscal Year Research-status Report
腎移植後の交感神経再生性変化と間質線維化に関する網羅解析
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21K09358
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
山本 泉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60600468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝俣 陽貴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80846246)
小林 賛光 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90439779)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 徐神経 / 腎移植 / 腎線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「移植腎において、除神経後の神経再生が強いほど間質線維化及び尿細管萎縮が進展しやすい」という仮説に対する実証を目的としている。具体的には、除神経後の神経再生性変化を免疫染色にて、腎線維化関連分子機構をNanostring社の開発したnCounterにて検証し、両者の関連性を検討する。 本年度は、経時的な腎生検組織を用いて、交感神経のマーカーであるTyrosinehydroxylase(Abcam,Bristol,UK)の免疫染色を検証した。移植後0時間および1時間の組織では、Tyrosinehydroxylaseは小葉間動脈の周囲に陽性であるが、3か月目の生検組織では、陰性症例が増加していた。1年目生検では陽性となる症例も認められ、徐神経後に退行性変化が生じ、その後再生性変化が生じる可能性が示唆された。ただし、交感神経自体は、比較的太い小葉間動脈の外膜に数か所のみの分布であることから、サンプリングエラーが生じやすいと考えられ、全体像を把握するためには症例の集積が必要と考えられた。 さらに、nCounterを用いたmRNAの定量のために、プレリミナリーに、ラット腎臓を用いて、実際にヒト検体で予定しているRNeasy FFPE kit、Qiagenを用いてRNAを抽出した。切片5μmで51.8ng/μl、A260/A280 2.04、A260/A230 2.22 切片7μmで99.3ng/μl、A260/A280 1.96、A260/A230 2.11 切片10μmで128.4ng/μl、A260/A280 1.97、A260/A230 1.92でそれぞれ30μlづつ回収できることを確認した。目標とする回収量は「60ng/μl以上の濃度のtotal RNAを20μl、A260/280比1.7-2.3」であるため、ヒト検体でも回収可能と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、交感神経のマーカーであるTyrosinehydroxylase(Abcam,Bristol,UK)の免疫染色を経時的に検証したが、当初陽性であるものが、時間の経過とともにはっきりしなくなること、また、1年後に陰性のままの症例もあれば、陽性化する症例もあることから、交感神経の退行および再生の大まかな特徴を捉えることはできたのではないかと考えている。ただし、神経の分布が実際にはかなり限定的であり、サンプリングエラーが生じやすいと思われ、より現象を明確に捉えるためには、症例の集積が重要と考えられた。nCounterを用いたmRNAの定量のために、プレリミナリーにRNeasy FFPE kit、Qiagenを用いてRNAを抽出してみたが、目標とする回収量を達成することは、ヒト検体でも可能と思われる結果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、「移植腎において、除神経後の神経再生が強いほど間質線維化及び尿細管萎縮が進展しやすい」という仮説に対する実証を目的としている。具体的には、除神経後の神経再生性変化を免疫染色にて、腎線維化関連分子機構をNanostring社の開発したnCounterにて検証し、両者の関連性を検討する。 本年度において、交感神経のマーカーであるTyrosinehydroxylase(Abcam,Bristol,UK)の免疫染色を経時的に検証したが、初期に陽性だが、退行したのちに再生する可能性を示唆する結果であった。しかし、交感神経の分布が比較的少ないことも判明したため、来年度は、現象のより深い理解のために、症例数を増やして解析する予定である。 また、nCounterに関しては、プレリミナリーな実験では、特に問題なくmRNA RNAを回収できたため、来年度は、実際にヒト検体でmRNAを回収し、網羅的に解析する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では、nCounterによる経費が最も大きい。実際にmRNAを抽出し、nCounterによる遺伝子解析を外部委託するまでに、プレリミナリーデータの取得に時間を要しているためと考えられる。研究計画に示す通り、今後交感神経の染色の症例数を重ね、nCounterによる網羅解析を実施予定である。
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