2021 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖解析による転移性尿路上皮癌に対する免疫CP阻害剤の新たなコンパニオン診断開発
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21K09364
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
橋本 安弘 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (60322939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 勇人 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30532759)
米山 高弘 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (90374834)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 転移性尿路上皮癌 / 免疫CP阻害剤 / 糖鎖解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
保険適応になったことで転移性尿路上皮癌患者に免疫チェックポイント(免疫CP)阻害剤であるPD-1抗体、PD-L1抗体を投与する場面が多くなった。当初はその治療効果は緩徐に表れると予想されていたが実際の臨床の場では数回の投与で劇的に効果のある症例も散見される。当科でも腹壁転移やリンパ節に転移のある尿路上皮癌患者がたった1回のペンブロリツマブ投与でCRとなり、さらに一般的なバイオマーカーである腫瘍検体におけるPD-L1の免疫染色は陰性であった症例を経験している。また免疫CP阻害剤で治療した半数以上は効果不十分であり、治療前に効果判定を予測するバイオマーカーの必要性を痛感していた。 これまで、我々のグループでは尿路上皮がん患者の予後予測、精巣腫瘍患者の予後予測、前立腺癌患者の去勢抵抗性予測における有用性を報告してきた。本研究では、血清N-結合型糖鎖の解析によって転移性尿路上皮患者の免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を予測する新規診断マーカーの開発を目標としている。 方法としては免疫CP阻害剤治療前の転移性尿路上皮癌患者の採血を使い血清イムノグロブリン分画の26種のN型糖鎖をキャピラリー電気泳動システムGly-Qにより定量、得られた糖鎖濃度からDataRobotを用いた機械学習による治療効果判定スコア(IOスコア)を算出しこのIOスコアが患者が免疫CP阻害剤の治療効果を予測できるかどうかを検討した。現在DataRobotとGly-Qとのコンビネーションで腎癌、尿路上皮癌の診断に有用なプラットオームを作成したのでこれを当研究に応用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、転移性尿路上皮癌患者の治療前血清を用いて、Gly-Qによる尿路上皮癌患者の血清糖鎖プロファイリングを行った。その結果、免疫CP阻害剤の治療効果と関係のあるN型糖鎖構造がいくつか同定されつつある。現在症例数がまだ20例と少ないことからさらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は検体数を増やし、転移性尿路上皮癌患者の治療前血清を用いてGly-Qよる尿路上皮癌患者の血清糖鎖プロファイリングを行い、免疫グロブリンの糖鎖構造変異と臨床的アウトカムについて調査を行う予定である。また、治療中の血清も用いて経時的な糖鎖プロファイリングの変化についても検討したい。
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