2023 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子解析からみた前立腺癌家族歴と遺伝性に関する研究
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21K09366
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 和浩 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80312891)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家族性前立腺癌 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の最終年度として、これまで検討してきた家族性前立腺癌家系におけるHOXB13遺伝子の多型、およびBRCA2遺伝子の多型についてリスク評価をまとめた。まずHOXB13遺伝子についてはG132EおよびF127Cが本邦症例で家系に3名以上前立腺癌が集積している家系でへにが確認された。前者は欧州で同定されているG84Eと異なる変異であり日本人に特徴的であった。両者ともに散発性前立腺癌では同定されず、家族性前立腺癌の特徴的な変異である所見であった。G132Eはグリーソンスコア8以上が54.5%を占めており、36.4%が有転移症例であったことから腫瘍の悪性度・進行度にも関連している可能性を示唆した。次にBRCA2伝子変異の検討では17のバリアントの頻度を詳細に検討した。5%以上の変異頻度はrs766173におけるA865C変異(10.2%)、rs144848におけるA1114C変異(20.5%)、rs11571653におけるA2350G変異(8.5%)、rs1799944におけるA2971G変異(10.2%)であった。今年度、さら散発性前立腺癌、非癌症例においける変異頻度も確認を行った。散発性前立腺癌では、A865C変異(11.9%),A1114C変異(20.0)、A2350G変異(11.6%)、A2971G変異(12.2%)であり、家族性とほぼ同様な頻度であった。非癌症例では、それぞれ11.7%、20.2%、12.4%、11.7%であった。家族性、散発性、非癌症例でのこれらの変異は有意な差を認めなかった。こうしたことから、BRCA2遺伝子変異のcommon variantと前立腺癌に関するリスク上昇は認めない結果であった。
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