2022 Fiscal Year Research-status Report
伸長精子細胞-Sertoli細胞間接着因子に着目した精巣内精子同定法の開発
Project/Area Number |
21K09375
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
阪野 里花 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20600753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 知樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30814256)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
野崎 哲史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50813432)
水野 健太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70448710)
岩月 正一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70595397)
梅本 幸裕 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (80381812)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | apical ES / F-actin / 多光子顕微鏡 / micro-TESE / 非閉塞性無精子症 / 伸長精子細胞 / Sertoli細胞 / 精巣毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
非閉塞性無精子症(NOA)の標準治療である顕微鏡下精巣内精子採取術(micro-TESE)では、精子を含む可能性が高い太く蛇行した精細管を採取する。しかしNOAにおけるmicro-TESEの精子採取率は25-60%と低く、報告によって差がある。その原因として、採取する精細管の選択基準が精細管の外観に基づいた術者の主観によることが挙げられる。そこで本研究では、精子を含む精細管を客観的に選択できる方法を開発することを目的とした。 私たちは、伸長精子細胞-Sertoli細胞間にのみ存在するapical ectoplasmic specialization(apical ES)と言われる接着因子に着目した。apical ESが存在する精細管は、精上皮において最も成熟した精細胞である伸長精子細胞を含むと考えた。apical ESはF-actinと数十種類のタンパクが連結した接着複合体である。本研究ではapical ESを構成するタンパクを蛍光標識し、精子を含む精細管を同定することを試みた。 SPY555-Actinを精巣間質に注射することで、10週齢ラット精細管のF-actinを蛍光標識し、ex vivoで精細管を多光子顕微鏡を用いて観察した。その結果、蛍光標識剤を注射した精巣では、伸長精子細胞に一致するapical ESのF-actinが観察できた。また、精細管におけるF-actinの局在を見ることで精上皮ステージを識別できた。さらに蛍光標識剤の精巣毒性を評価するため、正常精巣と蛍光標識剤を注射した精巣をTUNEL染色し、比較した。その結果、正常精巣と蛍光標識剤を注射した精巣において、精細管内のTUNEL陽性細胞数に有意差はなかった。 今後はヒトapical ESの蛋白の同定を行なって、蛍光標識のターゲットを検討し、毒性のない蛍光標識法を開発していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動物実験において生きたラットのapical ESを蛍光標識し、蛍光顕微鏡で観察すること、その毒性を評価することに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
精細胞の最終段階である伸長精子細胞とSertoli細胞の間にのみ存在する接着因子(apical ectoplasmic specialization)を蛍光標識し、多光子顕微鏡で観察することを試みるという研究である。上記に記載した動物実験の段階で時間を要し、予定してていた研究を進めることができなかった。今後は、研究①ヒトapical ESの解明、研究②精子形成障害モデルの作成、研究③精子形成障害モデルにおけるapical ESタンパクの発現局在の解析、研究④apical ESタンパクに対する蛍光標識抗体の作成を行っていく。
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Causes of Carryover |
精細胞の最終段階である伸長精子細胞とSertoli細胞の間にのみ存在する接着因子(apical ectoplasmic specialization)を蛍光標識し、多光子顕微鏡で観察することを試みるという研究である。計画自体は順調な滑り出しであったがCOVID-19による通常の医療業務が大幅に変更となり、予定していた研究を進めることができなかった。また国際・国内学会出張も計画していたが、出張することもできなかった。このため次年度使用が生じた。究① ヒトapical ESの解明 研究② 精子形成障害モデルの作成 研究③ 精子形成障害モデルにおけるapical ESタンパクの発現局在の解析 研究④ Apical ESタンパクに対する蛍光標識抗体の作成を行って行く。
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