2021 Fiscal Year Research-status Report
How hydrogen peroxide regulate fertilization?: The elucidation of the target protein of hydrogen peroxide during fertilization.
Project/Area Number |
21K09378
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
竹井 元 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00708183)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 受精能獲得 / 過酸化水素 / 活性酸素種 / 精子 / チオール基 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類精子が卵と受精するためには、受精能獲得と呼ばれる一連の生理学的・生化学的なプロセスを経なければならない。受精能獲得プロセス中の精子は活性酸素種を産生する。私はマウスを用い、過酸化水素が受精に必要であることを示した。しかし、過酸化水素がどの様に受精を制御するかは不明である。そこで本研究計画では、受精能獲得時に過酸化水素により修飾される分子を網羅的に解析し、その過酸化水素の標的分子の機能解析行うことで、受精能獲得・受精を制御する過酸化水素の標的分子を同定することを最終的な目標とする。具体的には、① 過酸化水素が制御する受精能獲得・受精の現象を明らかにする。② 受精能獲得時に過酸化水素によりチオール基が修飾されるタンパク質を網羅的に解析する。③ ①~②の結果に基づき、過酸化水素の標的となる候補分子の機能解析行う。の三点の実験を行う。 本年度は、① 過酸化水素が制御する受精能獲得・受精の現象を明らかにするために、カタラーゼで過酸化水素を除去した条件下で、受精能獲得に伴う諸現象や受精のどこへ影響が現れるのかを調べた。その結果、カタラーゼで過酸化水素を除去しても超活性化などの精子の運動性、先体反応およびタンパク質のチロシンリン酸化のいずれも大きな影響が見られないことが分かった。すなわち、過酸化水素は精子の受精能獲得の制御には関わることなく、受精の制御に関わる可能性が考えられる。また過酸化水素が精子と卵の膜融合に必要かどうかを調べるため、透明帯を除去した卵を用いた体外受精を試みたが、まだ実験系の確立には至っていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、カタラーゼで過酸化水素を除去しても超活性化などの精子の運動性、先体反応およびタンパク質のチロシンリン酸化のいずれも大きな影響が見られないことが分かり、それらの内容を論文にまとめて発表することが出来た。 過酸化水素が精子と卵の膜融合に必要がどうかを検討するために、透明帯を除去した卵を用いた体外受精を試みている。未だ実験系が確立していないが、研究協力者の助力を得ながら研究を進めている。 また、マウス精子が活性酸素を産生する酵素の同定についても、研究が進展しつつある。 以上の理由により、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に行うことが出来なかった透明帯除去卵を用いた体外受精を行い、過酸化水素が卵と精子の膜融合に必要なのかどうかについて検討する予定である。さらに当初の計画通り、カタラーゼにより過酸化水素を除去した場合としなかった場合の精子、卵のタンパク質のチオール基の修飾状態を網羅的に比較・解析することを試みる。方法としては、カタラーゼがある条件下で培養した精子・卵と、ない条件下で培養した精子・卵からタンパク質を抽出し、チオール基に結合する蛍光色素であるMonobromobimane (mBBr) を作用させる。その後二次元電気泳動により分離し、蛍光強度が変化したスポットのタンパク質をLC-MS/MSにより同定する。 以上により、受精能獲得の過程で過酸化水素により修飾を受けるタンパク質を同定することを目指す。
|
Causes of Carryover |
当初の予定とは異なる試薬を使用することで、経費を抑えることが出来たため。次年度は質量分析の受注解析などに使用する計画である。
|