2021 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス応答に着目した間質性膀胱炎の発症メカニズム解明と治療法の開発
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21K09380
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松本 一宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80366153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 利和 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10383829)
田中 伸之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60445244)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酸化ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
下部尿路機能障害を伴う疾患は多々あるが、その中でも最も重症な蓄尿症状を伴う疾患として間質性膀胱炎が挙げられる。間質性膀胱炎は頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、炎症、膀胱痛等の症状を示す、非感染性の指定難病である。残念ながら現存する治療薬・治療法はすべて一過性の症状改善にしかつながらず、生涯に渡って患者のQOLを阻害する。近年、その発症メカニズムに酸化ストレスが関与している可能性が示唆されている。マウス間質性膀胱炎モデルを用い実臨床に応用可能な新規治療法を確立することを本研究の目的とする。
マウス間質性膀胱炎モデルはMitomycin Cをマウス膀胱に膀胱内注入することにより作成されるモデルである。そこで昨年度は、これからのin vivoの実験をすすめていく足がかりのステップとして、ヒト正常尿路上皮細胞株、膀胱平滑筋細胞株に対するMitomycin Cが及ぼす酸化ストレスとTadalafil投与の抗酸化作用についてin vitro実験を行う予定であった。
ヒトの正常尿路上皮細胞株としてBdECを、膀胱平滑筋細胞株としてHBdSMCを培養したが、両者とも非常に増殖が遅く、また容易にコンタミネーションを起こすため、in vitro実験につなげることができなかった。そこで様々なmediumおよび添加薬剤を試した結果、BdECには前立腺上皮細胞系用の培地が、HBdSMCには血管細胞系用の培地が適しており、内分泌ホルモン、アミノ酸、抗生剤等を添加することにより安定した細胞増殖を得ることができた。並行して、今後のこれら正常細胞株を用いるための予備実験として、増殖能が高い膀胱癌細胞株T24を用いての、酸化ストレス応答に関するアッセイ実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
癌細胞株と異なり、正常尿路上皮細胞株と正常膀胱平滑筋細胞株は、両者とも非常に増殖がおそく、容易にコンタミネーションを来してしまうため、安定したin vitro実験にまで至らなかった。メディウム選択および添加薬剤(内分泌ホルモン、アミノ酸、抗生剤)により、癌細胞株と同等の細胞増殖を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的にはメディウム選択および添加薬剤により、本研究で用いる正常尿路上皮細胞株と正常膀胱平滑筋細胞株のどちらとも、癌細胞株同等の細胞増殖を得ることができている。また予備実験として、膀胱癌細胞株T24を用いての、酸化ストレス応答に関するアッセイ実験は成功しており、今後予定通りのスケジュールに追いつけるものと考えている。
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Causes of Carryover |
In vitro実験をすすめる前提としての、正常尿路上皮細胞株と正常膀胱平滑筋細胞株の安定培養ができなかったため、予定していたスケジュールで実験が進まなかった。改良により、細胞増殖を得ることができており、今後予定通りのスケジュールに追いつき助成金を使用する予定である。
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