2021 Fiscal Year Research-status Report
系統的に近縁関係の梅毒トレポネーマ株間を細分化する塩基置換候補の評価とその応用
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21K09388
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
中山 周一 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (80280767)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全ゲノム解析 / 梅毒トレポネーマ / 系統分類 / 簡便系統分類法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年から2018年の国内梅毒トレポネーマDNAのゲノムシーケンス解析結果を投稿論文で公表した。この中では互いに近縁関係にある日本株と中国株とをほぼ細分化できる可能性の有る1塩基置換を同定した。国内梅毒トレポネーマDNAのゲノムシーケンス解析結果を投稿論文で公表した。後者に2020年初頭から、Washington大、L. Giacani主導の、梅毒ワクチン開発を目指した世界各国の梅毒トレポネーマゲノム解析プロジェクトに参加して2019年1月から2020年2月までの日本国内陽性例82サンプルを共有し、共同でデータ解析を行い、結果をPLos Negl. Trop. Dis. 15:12 e0010063. https://doi.org/10.1371/jounal.pntd.0010063.に公表した。日本株のうち、 Heterosexuals患者由来株は全て中国株群と最近縁関係に有り、「SS14-East asia」と命名した Sub-cladeを形成することと、このSub-cladeを簡便に検出するマーカーとして有用と思われる1塩基置換とを見出した。また日本株のうち、MSM株は、同Sub-cladeのものを含む計4つの系統に分けられることと、これら国内流通株群4系統を簡便に同定区分できる可能性の有る1塩基置換3ヶ所の組み合わせを見出し、今後その検証が課題と目される。 反面、中国株の解析が進んだことにより、前述の日本株と中国株とをほぼ細分化できる可能性の有る1塩基置換は、現在ではそれほどの有用性が無くなっていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
系統を細分化できる可能性の有る、もしくは系統を簡便に分類同定できる可能性の有る1塩基置換、3ヶ所の組み合わせを提示することができた。反面、近縁関係にある日本株と中国株を細分できる1塩基置換は現在有望性が減少していることがわかったが、人間の国境を超えた流動が徐々に進んでいる現状では不可避な物と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)指定3ヶ所1塩基置換データ収集 上述した系統を簡便に細分できる可能性が示唆されたTP_0705遺伝子内3ヶ所の1塩基置換データについては、このデータを導く際に解析された日本由来検体は 2019年から2020年2月の期間のものである。2020年 3月以降に得ている、および今後得られる梅毒トレポネーマ DNA陽性検体を対象として、TP_0705領域をPCR増幅し、その塩基配列を決定する。このデータに基づいて3ヶ所の1塩基置換組み合わせから予想される系統との対応について、仮の系統予想法則に則り、各検体に予想系統種を割り振る。 前項で予想系統を割り振れた各検体を対象に実際にターゲットキャプチャー法による検体中の梅毒トレポネーマゲノム画分の選択濃縮プロセス後、次世代シーケンサー解析で whole genome sequence データを取得し、その結果をもとに実際の系統を決定する。2019年から;2020年2月の期間の検体解析結果から得られている系統とTP_0705内の3ヶ所の1塩基置換との連関性が2020年 3月以降の検体でも同様に成立しているか否かを検証し、このSNP決定による系統予想の信頼性、有用性を 検討、確定する。
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[Journal Article] Genome Sequencing of 196 Treponema pallidum strains from six continents reveals additional variability in vaccine candidate genes and dominance of Nichols clade strains in Madagascar.2021
Author(s)
Nicole A.P. Lieberman, Michelle J. Lin, Hong Xie, Lasata Shrestha, Tien Nguyen, Meei-Li Huang, Austin M. Haynes, Emily Romeis, Qian-Qiu Wang, Rui-Li Zhang, Cai-Xia Kou, Giulia Ciccarese, Ivano Dal Conte, Marco Cusini, Francesco Drago, Shu-ichi Nakayama, et al.
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Journal Title
PLos Negl. Trop. Dis.
Volume: 15
Pages: 12 e0010063.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research