2022 Fiscal Year Research-status Report
系統的に近縁関係の梅毒トレポネーマ株間を細分化する塩基置換候補の評価とその応用
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21K09388
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
中山 周一 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (80280767)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 梅毒トレポネーマ / 系統分類 / ゲノム解析とその代替法 / 感染経路推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度報告したように、 2019年1月〜 2020年2月の間に国内で採取された梅毒トレポネーマ(以下、T.p)陽性検体由来の T.pの全ゲノム解析を試行し、解析可能であった 57株での結果を元に、日本国内で系統分けができる少なくとも4つの系統の梅毒トレポネーマが流通していることを見出し、更にこの系統は特定の単一遺伝子内の3ヶ所のSNPを決定することで特定できる可能性を提出した。この可能性の検討評価のため、2020年3月〜 2023年 4月採取の国内採取T.p陽性検体でこの3ヶ所のSNP情報を試行し、112検体分について情報が得られた。今後、上記可能性の検定のためこれら情報が得られた検体につき、実際のゲノム解析を試行する予定である。 培養が基本的に不可能で、全ゲノム解析の成功率が高くないT.pに於いては、上記課題以外にもゲノム解析と代替可能で、より成功率が高く、かつ信頼性が高く、系統分類と良く相関するSNP解析や型別法の模索が、科学的根拠を持った感染ルート推定ツール開発に極めて重要である。この観点から、いくつかの方法を試行し、arp遺伝子内の繰り返し配列のリピート数にこの繰り返し配列内のSNPを加味したデータと系統分類結果が良く一致、対応することが判明し、論文として公表した(Front. Microbiol. (2022) Sep 20;13:1007056. doi: 10.3389/fmicb.2022.1007056. eCollection 2022.)。 また、未発表であるが、繰り返し遺伝子群tprEGJのRFLP型の1つ、o型が国内流通系統の1つであるTEN系統と強く相関することも見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
系統分類と対応するという仮説を出しているSNPs情報の収集が進んでおり、今後得られるゲノム解析データとの突合によって仮説の検証に直結し得る。 今回提出している代替法以外にも系統分類と対応する可能性の有る遺伝子型別や遺伝子内リピート数などを候補として提出できている。
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Strategy for Future Research Activity |
系統分類と対応するという仮説を出しているSNPs情報の収集が進んでおり、今後得られるゲノム解析データとの突合により、SNPsの有用性を検し、結論づける。 現在、国内流通4系統中、最大の集団、「SS14ーEast Asia」集団内に於いてのSNPsを探索し、将来的なこの集団の細分化に流用できるか、を検討する。 当初目論んだこのSNPs以外に今回見出したarp遺伝子内繰り返し配列とtprEGJ遺伝子のRFLP型の系統分類能力について、さらにデータを収集し、検討する。
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Causes of Carryover |
年度末近くに納入された製品の支払いが年度内に行えなかったため、次年度繰越の上、次年度初頭に支払う予定
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