2021 Fiscal Year Research-status Report
尿路上皮における遺伝子変異の蓄積と癌化のメカニズムの解明
Project/Area Number |
21K09390
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 悠佑 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20372378)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 春喜 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (10272577)
山田 大介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00623696)
山田 雄太 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10376452)
秋山 佳之 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20529135)
鈴木 基文 東京都立墨東病院(臨床研究支援室臨床研究部), 泌尿器科, 部長 (50401063)
川合 剛人 東京大学, 医学部附属病院, 助教(移行) (60343133)
中村 真樹 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (70805788)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 尿路上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京大学医学部附属病院泌尿器科において手術を行った腎盂尿管癌5症例について、腫瘍部以外に非腫瘍部の尿路上皮粘膜を採取し、尿路上皮に蓄積した遺伝子変異が検出できるかどうか試みた。非腫瘍部における変異のclonalityを検討するためには、径0.5-1mm程度の微小な検体採取を行う必要がある。これまでの、食道粘膜や大腸粘膜における同様の解析における経験をもとに、微小な検体採取の方法とそこからのDNA抽出、さらには全エクソンシークエンシングのためのサンプル調整の方法を確立していった。 採取した検体を用いて、全エクソンシークエンシングによる網羅的な遺伝子変異解析を行ったところ、一部の非腫瘍部尿路上皮からは、KMT2Dの遺伝子変異が検出された。これらの変異は、採取した部位によって異なる変異であり、それぞれの部位において独立にKMT2D遺伝子変異が生じていると考えられた。KMT2D遺伝子変異は尿路上皮癌において高頻度に検出される遺伝子変異であるが、尿路上皮癌の発生の前段階において、既にこれらの変異が生じていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの経験を活用することにより、尿路上皮粘膜における微小な検体採取の方法やそこからのDNA抽出、全エクソンシークエンシングのためのサンプル調整の方法に関して確立することができた。実際に、全エクソンシークエンシングによる網羅的な遺伝子変異解析も一部の症例で行い、尿路上皮癌の発生に関連しうる遺伝子変異を非腫瘍部の尿路上皮粘膜から検出することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
非腫瘍部の尿路上皮粘膜におけるclonalityの評価を詳細に行うためには、一定の領域において微小な検体採取を多数の箇所に行い、それぞれの部位で遺伝子変異を検出しそのマッピングを行う必要がある。今後、そのような観点から検体採取の方法の最適化を図る予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延に伴う研究活動の縮小により、本研究についても進捗が停止した時期があったため。現在は研究活動を再開しており、引き続き研究に必要な物品や旅費を中心に使用していく予定である。
|