2023 Fiscal Year Research-status Report
キチンナノファイバーを用いた即効性手術用止血剤の開発
Project/Area Number |
21K09397
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
武中 篤 鳥取大学, 医学部, 教授 (50368669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森實 修一 鳥取大学, 医学部附属病院, 准教授 (50419496)
伊福 伸介 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (70402980)
大林 徹也 鳥取大学, 研究推進機構, 准教授 (80348804)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | キチン / キトサン / ナノファイバー / 止血剤 / 抗菌性 |
Outline of Annual Research Achievements |
作成したキチンナノファイバーによる手術用止血剤の効果について、ラットを用いて実験を行った。実験方法は、ラットをイソフルランよる麻酔処置後、皮膚・腹膜を切開し、左腎を遊離、腎の下極を切断し、切断面に止血剤を塗布・圧迫することにより止血効果や接着性を検証した。 ナノファイバースポンジを腎の切断面に圧迫することにより、出血部位は速やかに止血された。止血時間について既存の止血剤と比較し、遜色のない結果であった。同様にガーゼによる圧迫や3-0vicrylの単結紮縫合による止血方法を行ったが、止血時間についてナノファイバースポンジはより優れていた。 またナノファイバースポンジによる止血確認後にラットを麻酔から醒まし、3日後に二酸化炭素により安楽死させた。体内に出血はなく、腎切断面にはナノファイバースポンジが接着しており止血されていた。止血剤は体内での環境下でも切断面と接着したままであり、止血効果が続いていたと考えられた。 止血効果を検討するため複数のラットを用いて同様の実験を行い、既存の止血剤や縫合による止血方法と比較していく。また止血確認後の3日及び30日後の切断面の肉眼的・病理組織学的な観察を実施する。病理組織ではHE染色でマクロファージや好中球などの炎症細胞の浸潤についての評価や、免疫組織化学染色、RT-PCR法によりTGF-β1やTNF-αを測定し、止血剤の生体適合性を確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験方法は過去の報告と同様の手順で行ったが、詳細に記載されているものが少なく、手技の確立に時間を要した。また使用物品について追加で購入するものも多く、進捗が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したキチンナノファイバーによる手術用止血剤の止血効果や生体整合性について評価していく。ラットを用いて、既存の止血剤や縫合による止血方法との比較を行う。止血が得られるまでの時間や、3日後、30日後の病理組織を評価する。
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Causes of Carryover |
動物実験の必要物品を揃える準備に時間を要してしまい、研究が遅れてしまった。次年度への持ち越しを行い、当初の予定通り進めていく予定である。 今後は、止血剤の止血効果を評価するとともに、生着性を評価するため、HE染色や免疫組織化学染色、RT-PCR法を行う予定である。これらの実験のための費用として使用する計画である。
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