2023 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞がん微小環境におけるCD8陽性T細胞と癌線維芽細胞の相互作用の病態解明
Project/Area Number |
21K09398
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北野 弘之 広島大学, 病院(医), 助教 (60721933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北台 靖彦 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (10304437)
仙谷 和弘 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (30508164)
弓削 亮 広島大学, 病院(医), 講師 (70794791)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / MSC / 癌線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎細胞癌微小環境における骨髄由来間葉系幹細胞の役割を解明する事を目的に、以下の研究を実施した。ルシフェラーゼ、GFP発現ヒト腎癌細胞株Caki-1を用いて、同所移植モデルマウスを作製した。コントロール群(C群)と、MSCを尾静脈から注入したMSC群に振り分けた。IVISを使用し、MSCの投与開始から2週毎にcell viabilityを測定し、4週間後に腫瘍を摘出した。摘出組織の蛍光免疫染色によってMSCが分化した細胞を解析した。また、IncuCyteを用いてMSCとの共培養によるCaki-1の細胞増殖と遊走能の変化を解析した。結果でコントロール群と比較してMSC群では、cell viabilityは有意に増加した。また、コントロール群と比較してMSC群では腫瘍重量が有意に増大した。摘出した腫瘍の蛍光2重免疫染色により、MSCは線維芽細胞に分化したことを確認した。Caki-1はMSCのCondition Mediumによる培養では細胞増殖と遊走能に変化を認めなかったが、MSCとの共培養では有意に細胞増殖と遊走能が増強された。腎細胞癌では骨髄由来のMSCもがん関連線維芽細胞に分化している可能性があり、腎細胞癌の増大、転移に関与している可能性が示唆された。またNesprin1タンパク発現の低下はSYNE1遺伝子の変異に起因するが腎細胞癌における機能は未だ不明瞭であり線維芽細胞を含めた微小環境との関連も考えて機能解析を施行した。77例のccRCC手術標本を用いてNesprin1の免疫組織染色を行った。機能解析には、RCC細胞株3種類を用いた。SYNE1ノックダウン細胞株と対照細胞株を用いて細胞増殖、浸潤、創傷治癒アッセイ、RNA sequencingを実施した。IHCでは、26名が陰性、51名が陽性であった。陰性群は陽性群に比べて全生存期間、癌特異的生存期間、無再発生存期間の悪化を認めた。SYNE1-kdでは浸潤能および遊走能が上昇した。ccRCCにおけるNesprin1の機能欠失はがん細胞の浸潤能と遊走能の亢進に寄与する。
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