• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2021 Fiscal Year Research-status Report

The effect of steroid for calcineurin inhibitors nephrotoxicity in kidney transplant recipients

Research Project

Project/Area Number 21K09414
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

田邉 起  北海道大学, 大学病院, 助教 (80880096)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 村上 正晃  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00250514)
篠原 信雄  北海道大学, 医学研究院, 教授 (90250422)
堀田 記世彦  北海道大学, 大学病院, 講師 (90443936)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords腎移植 / 薬剤腎毒性 / カルシニューリン阻害薬 / ステロイド / バイオマーカー
Outline of Annual Research Achievements

腎移植後の長期成績の向上にはカルシニューリン阻害薬(CNI)による慢性腎毒性の克服が必要である。これまでのCNI腎毒性の概念は腎細動脈の中膜平滑筋の硝子様変化による血管毒性とされており、これにより腎の間質線維化や尿細管委縮が始まり移植腎機能低下を起こすと考えられていた。この動脈硝子化に代表される血管内皮細胞変化が慢性腎毒性のマーカーとされてきたが、尿細管や間質の上皮細胞系に注目したマーカーが必要である。
近年CNIによる炎症性サイトカインの産生の誘導が指摘されており、慢性炎症のメカニズムのひとつであるNF-κB経路とSTAT3経路の活性化が相乗的に起こる炎症増幅回路の活性化が関与している可能性がある。一方で、免疫抑制剤の一つであるステロイドには抗炎症作用があり、CNIよる炎症性サイトカイン産生誘導を抑制している可能性がある。よって本研究の目的は尿細管間質においてCNI腎毒性をステロイドが軽減しているかを検索し、さらに新規バイオマーカーの開発に取り組むことである。
まずステロイドがCNIによる腎毒性に良い影響を及ぼすかを臨床データおよび経時的な移植腎組織より解析した。当院の腎移植患者でステロイドが継続されている群と、ステロイドを早期に中止した群で、移植腎サンプルの見直しを行った。Periodic acid-Schiff stain(PAS)染色を用いて、これらの細動脈の硝子化を国際基準であるBanff分類のAlternate quantitative scoring for Hyaline Arteriolar Thickening(aahスコア)で3段階に分けて評価した。現段階でステロイド中止群においてCNI毒性が有意に高い結果がでている。この結果はステロイドが慢性腎毒性を抑制する可能性を示す重要な知見である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画通り症例数が蓄積できており、また共同研究者により炎症の根源である多量の炎症性因子の産生機構を炎症増幅回路(Inflammation Amplifier)の分子機構の転写因子STAT3とNF-κBの同時活性の解析もすすんでいる。
今後はこれらの炎症回路制御に関連する分子、STAT3やNF-κBなどで染色を行い、カルシニューリン阻害剤による腎毒性がステロイドで制御できているかを確認する予定で、典型例ではステロイドを中止したCNI毒性例において、STAT3やNF-κBの発現が増えている傾向がつかめている。
また腎生検サンプルを用いたRNA発現量の解析では、ステロイドを中止したCNI毒性例においてIL-6、TNFα、NF-κBの発現量が増えている傾向を確認しており。その後はRNAシーケンスにより、CNI腎毒性のバイオマーカーとなる遺伝子の解析を検討している。
このように概ね計画通りに研究は進行している。

Strategy for Future Research Activity

今後はin vitroで血管平滑筋細胞、内皮細胞、近位尿細管細胞にタクロリムスを加えて、ステロイドの有無で炎症サイトカインの発現量を比較する。RT-PCRを用いたIL-6のmRNA発現量の測定で、近位尿細管細胞において、タクロリムスの投与によりIL-6の発現量が増加するが、ステロイドにより発現量が抑制されること、そしてIL-6+TNFα刺激によるIL-6 Amplifierの活性化によりIL-6の発現量が増加することを確認する予定である。
最後に再び臨床検体を用いて、STAT3、NF-κB、および上記3のRNAシーケンスの検討で発見され得るCNI腎毒性のバイオマーカーの染色を行い、病理学的な定量評価を予定する。評価方法は現時点では未定であるが、現存の細動脈の硝子様変化とは全く違う視点の尿細管や間質の上皮細胞系での評価が可能と考える。

Causes of Carryover

1.申請時の計画通り目標症例数を増やすために、R3年度と同様に移植腎生検のパラフィン 切片から未染色スライド作成や染色用の抗体にかかる諸費用が必要である
2.今後予定しているin vitroの追加実験やRNAシークエンス解析に用いる諸費用が必要であり、2021年度で購入が間に合わなかった追加の抗体など購入予定である。
3.上記の成果を国内外の学会で発表する予定であったが2021年度は学会が中止、延期となり2022年度に発表を行う予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022 2021

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] ステロイドによるCNI腎毒性進行抑制効果の検討2022

    • Author(s)
      岩原 直也、堀田 記世彦、田邉 起、高田 祐輔、樋口 はるか、佐々木 元、篠原 信雄
    • Organizer
      第55回日本臨床腎移植学会
  • [Presentation] ステロイドによるカルシニューリン阻害剤腎毒性進行抑制効果の検討2021

    • Author(s)
      岩原 直也、堀田 記世彦、田邉 起、高田 祐輔、樋口 はるか、佐々木 元、岩見 大基、篠原 信雄
    • Organizer
      第411回北海道地方会

URL: 

Published: 2022-12-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi