2021 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢が前立腺癌の進展に与える影響とそのメカニズムの解明
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21K09421
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松下 慎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40824785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 和利 近畿大学, 医学部, 准教授 (50636181)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 短鎖脂肪酸 / 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は腸内細菌叢が前立腺癌の進展に与える影響とそのメカニズムについて、予定通りに研究を進め、高脂肪食接種前立腺癌マウスに抗生剤を経口投与すると、前立腺癌の増殖が抑制され、複数の短鎖脂肪酸産生菌が減少した。さらに、短鎖脂肪酸を投与することで抗生剤の癌増殖抑制効果が打ち消されるという実験結果から、腸内細菌代謝産物である短鎖脂肪酸がIGF-1を増加させることで癌細胞のMAPKやPI3Kを介して増殖を促進することを明らかにした。本内容は2021年8月にCancer Research誌にGut Microbiota-Derived Short-Chain Fatty Acids Promote Prostate Cancer Growth via IGF1 Signalingとして掲載された。 また、前立腺生検を受ける前立腺癌疑いの日本人男性152名の腸内細菌叢を16SリボソーマルRNA遺伝子解析を用いて同定し、生検結果や癌の悪性度に基づく層別化を行い比較した。その結果、高悪性度前立腺癌患者の腸内細菌叢ではAlistipesやLachnospiraといった短鎖脂肪酸産生菌が有意に増加していることや、腸内細菌叢の構成から算出される独自のスコアリングシステムにより、高悪性度の前立腺癌患者をPSAよりも高精度に判別できることを明らかにした。このスコアについては独立したテストコホートにおいても高精度な判別能を有することが確認された。本内容は2021年8月にThe gut microbiota associated with high-Gleason prostate cancerとしてCancer Science誌に掲載された。 2021年度に得られた結果は前立腺癌の進展において腸内細菌叢との関連が存在することを示唆していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、主に細菌成分による炎症を介したメカニズムについての動物実験を行っている。さらに、前立腺生検患者の便、血液検体の収集と腸内細菌叢解析を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、前立腺癌モデルマウスを用いた実験により短鎖脂肪酸以外の前立腺癌進展に関与する細菌や代謝産物の同定を進める。 ヒト検体を用いた研究では、当初目標検体数を200としていたが、想定より多くの施設の協力を得られたため目標数を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
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Research Products
(4 results)