2022 Fiscal Year Research-status Report
間質性膀胱炎に対する究極的低侵襲治療の確立と病態制御の解明
Project/Area Number |
21K09424
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡邉 豊彦 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (30432644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定平 卓也 岡山大学, 大学病院, 助教 (20733322)
丸山 雄樹 岡山大学, 大学病院, 助教 (00803850)
荒木 元朗 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90467746)
和田 耕一郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (20423337)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 間質性膀胱炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
間質性膀胱炎は膀胱痛・骨盤痛・頻尿・尿意切迫感を主症状とする原因不明の慢性炎症性疾患である。特に、ハンナ潰瘍を有する場合は、激しい膀胱痛や骨盤痛を伴い再発を繰り返す。現時点の治療法としては、膀胱腔内に直接薬剤を注入する手段がとられているものの注入できる薬剤は限定されており、その有効性も十分には示されていない。手術療法は全身/脊椎麻酔下での膀胱水圧拡張術もしくはハンナ潰瘍病変の電気凝固術であるが、多くの症例で治療抵抗性となり、根本的な解決手段には至っていないのが現状である。そのため、ハンナ型間質性膀胱炎に対する「超低侵襲」かつ「根治」を目指した治療法の開発・普及が喫緊の課題である。我々は近年、新たな治療戦略として薬剤の局所浸透・拡散の制御を可能とする新規内視鏡下アブレーション技術を開発した。本研究では、この技術にもとづく究極の低侵襲治療を提案し、確立を目指す。盲目的に膀胱腔内へ限られた薬剤注入のみでしか病変部を治療し得なかった領域に、我々の新規内視鏡下アブレーション技術で病変部だけにターゲットを絞った治療を展開し、副作用の観点からこれまでに使用できなかった治療候補薬剤のプラットフォーム化を行っている。また、この技術を内視鏡と組み合わせ、人工知能を用いた治療の最適化、全自動システム化を実現し、究極的には内視鏡が人間の手を借りず低侵襲治療を行うようになるための基盤技術の創成を目指す。一方で、ハンナ型間質性膀胱炎に対してこの革新的治療をあらゆる薬剤で発展する中で、その病態制御に焦点をあてた研究も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的とする病変部位における薬剤のアブレーション療法について、特に従来法で指摘されている「病変部に薬剤で治療する場合標的部位以外への漏れが発生する」といった課題に対する解決を図るべく、独自の薬剤投与法を用いてイヌ膀胱における動物実験を実施した。その中で、間質性膀胱炎の標準治療薬として膀胱注入という手法を用いて使用されてきた硝酸銀水溶液を膀胱局所に垂れずに塗布するという知見を得た。病変部のみを治療薬で治療する方法についての検証を昨年度から行っており、以前の結果よりも有望な成果を得つつある。本研究は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度に引き続き、アブレーション効果を有する様々な薬剤、またその溶媒およびそれらの適切な組み合わせについて、それぞれの膀胱粘膜における内視鏡下でのアブレーション作用について検証を行っている。引き続き、内視鏡下薬剤局所投与による間質性膀胱炎の根治的治療法の確立と当該局所治療候補薬の最適化に係る研究を推進する。本研究の成果は、難病である間質性膀胱炎治療に対する新しい治療変革を起こす可能性がある。
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Causes of Carryover |
解析などの諸経費が予定額より少なく、次年度へ繰越とし、研究を継続する予定である。
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