2021 Fiscal Year Research-status Report
抗癌剤耐性前立腺癌のゲノム不安定性の解析と合成致死を利用した新規治療戦略
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21K09436
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本郷 周 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (10626675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
安水 洋太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40464854)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 去勢抵抗性前立腺癌 / DNA損傷応答 / DN修復経路 / タキサン系抗癌剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対する有効な治療は少なく、新規抗癌剤カバジタキセル等も近年使用され始めているが、その生命予後延長効果は数か月程度である。DNA損傷応答関連遺伝子は種々の癌で発がんならびに難治性との関連を認め、PARP阻害剤が前立腺癌の新規治療薬として注目されているが、欧米における実臨床では既に耐性化が問題となっている。本研究では、抗癌剤耐性前立腺癌細胞株においてクロマチン不安定性を認めることに着目し、前立腺癌臨床検体の解析からDNA損傷応答との合成致死を利用した新規治療戦略を追求することを目的とした。昨年はカバジタキセル耐性前立腺癌モデル細胞株細胞の遺伝子発現プロファイルをゲルビーズ法を用いたシングルセルRNAシーケンシングで解析した。その結果DNA修復経路のリモデリングが同定され、カバジタキセル耐性との関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カバジタキセル耐性CRPCは極めて予後不良であり、新規治療戦略の確立は喫緊の課題である。一方でカバジタキセル耐性獲得メカニズムは未解明であり、CBZ耐性モデル細胞株も報告がない。申請者らは、転移性CRPC細胞株DU145, PC3へカバジタキセルを投与し続けることにより、カバジタキセル耐性CRPCモデルDU145CR, PC3CRを樹立した。CBZ耐性CRPCモデル細胞株は世界でも報告がなく、当教室独自のモデルである。昨年はカバジタキセル耐性前立腺癌モデル細胞株細胞の遺伝子発現プロファイルをゲルビーズ法を用いたシングルセルRNAシーケンシングで解析した。その結果DNA修復経路のリモデリングが同定され、カバジタキセル耐性との関与が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
DDR関連遺伝子は難治性前立腺癌の治療標的となりうると考えられたが、本邦で前立腺癌へ承認された薬剤はなく、PARP阻害剤オラパリブが前立腺癌治療薬として海外承認されたが、欧米では既に耐性化が問題となっている。今回申請者は当施設で確立したバイオインフォマティクスによる独自の薬剤スクリーニング手法を応用し、カバジタキセル耐性CRPC細胞株DU145CR, PC3CRのマイクロアレイデータを用いて、in silicoにて化合物スクリーニング(Connectivity map analysis)を行った。その結果、3種の薬剤において抗癌剤耐性前立腺癌の遺伝子プロファイルを、抗癌剤感受性の遺伝子プロファイルへ再プログラム化する作用を持つことを見出した。本年は同定した薬剤の抗腫瘍効果を解析するとともに、臨床検体の解析を進め、プレシジョンメディシンにおけるバイオマーカー探索も同時に行う。
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Causes of Carryover |
今回コロナ禍の影響で研究代表者の本務先である練馬総合病院および慶應義塾大学双方の行き来が不可能な期間が長く、慶應義塾大学での研究に支障を来たしていました。また、研究代表者本人がCOVID19濃厚接触者に認定され隔離された期間もあり、実質的に研究できる期間が短かった影響で本研究の進捗がやや遅れております。
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