2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the mechanisms of trophoblast syncytialisation: implication for the pathogenesis of preeclampsia
Project/Area Number |
21K09450
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
工藤 美樹 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (80241082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 潤 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (10315476)
古宇 家正 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (10794779)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胎盤絨毛細胞 / トロフォブラスト / 合胞体化 / 浸潤 / 妊娠高血圧症候群 / 癒着胎盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. トロフォブラストのシンシチウム化に関する研究 1) ヒト胎盤トロフォブラストのシンシチウム化に関与する分子としてhuman endogenous retrovirs (HERV)のエンベロップタンパクであるsyncytin(シンシチウム化を促進)およびsyncytin(シンシチウム化を抑制)が同定された。また、これらの分子はア ミノ酸輸送タンパクのASCT2をレセプターとしている。そこでこの分子の発現動態を妊娠高血圧症の胎盤において解析し、正常妊娠胎盤におけるそれらの 結果と比較した。2)suppressynの発現は正常妊娠の胎盤において、単核のサイトトロフォブラスト優位に発現が認められた。発現部位は細胞膜と細胞質であった。3)さらに、 妊娠高血圧症候群の胎盤ではsuppressynの染色性が低下していた。この結果は、妊娠高血圧症候群の胎盤においては過剰のシンシチウム化が起こりトロフォブラ ストのアポプト-シスが増強し、胎盤機能の低下をきたす原因と考えられる。
2. トロフォブラストの浸潤に関する研究 1)トリプトファン代謝酵素であるindoleamine 2,3-dioxygenase (IDO) の母体-胎児境界部位での発現動態を解析した。2)正常妊娠では、胎児側の組織である 絨毛組織の合胞体トロフォブラスト、間質のマクロファージおよび胎児側の血管内皮細胞に発現が認められた。母体側の組織である脱落膜組織には間質の腺組織 の内皮細胞およびマクロファージに発現が認められた。3)母体-胎児境界部位の脱落膜に存在するIDOはトロフォブラストの浸潤を制御している可能性が考えら れる。免疫染色により検討を行うと、癒着胎盤においてはIDOの発現が欠損していた。これによりトロフォブラストの浸潤が抑制されないことが癒着胎盤の発症 病態と考えられた。
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