2023 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜における炎症誘発メチル化変化による発がん機構の解明
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21K09455
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
寺尾 泰久 順天堂大学, 医学部, 教授 (00348997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 貴紘 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 客員主管研究員 (00553661)
黒田 恵司 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (60459162)
吉田 惠美子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任准教授 (90825788)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / 内膜炎 / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、正常内膜、内膜癌、内膜炎の比較解析を実施することで、癌と正常内膜では明らかにパターンが異なるだけでなく、内膜炎では正常と類似する領域と癌と類似する領域が混在しており、メチル化パターンに発癌パターンと非発癌パターンがあるという仮説と矛盾しない結果が得られていた。しかしなが ら、Type1子宮体癌の前癌病変として異型内膜増殖症ではどのようにメチル化パターンが変化するかを追加検討項目とし、子宮内膜増殖症・子宮内膜異型増殖症、正常内膜および子宮内膜癌におけるDNAメチル化パターンの比較検証のための検体収集とシーケンスを完了した。さらに、子宮内膜由来DNAを乾燥した月経血中から検出しえるかどうかの検証を実施した。標的DNAを加えた末梢血を用いた擬似月経血を作成したところ、常温で乾燥させた擬似月経血からも1週間以上経過後も安定して標的DNAを検出しえる可能性を確認しえた。また、DNAメチル化は臓器特異性を示すことを利用し、検出検体として想定する月経血中への混在の可能性が考えられる卵巣腫瘍と子宮内膜腫瘍は異なるメチル化パターンを示すことが確認でき、メチル化パターンによる両者の判別の可能性も確認しえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例頻度の低い前向き症例を用いた追加検証を実施したため、年度内に解析の完了に至らず、現在継続してデータ解析を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮体癌は世界的に増加傾向にあるが、早期診断できれば手術のみで根治可能である。しかし、無症状女性に対する網羅的なスクリーニングは有効性が認められていない。また出産年齢の高齢化とType1子宮体癌の発症年齢の重複から、出産可能年齢に対する妊孕性温存の必要性も高まっている。実際に米国FDAによる子宮体癌の研究開発優先度評価でも、スクリーニングと予防介入の優先度が高い。子宮体癌では多様な遺伝子突然変異の蓄積に加えて、DNAメチル化異常が発癌・腫瘍形成の中心的な役割を担っているといえる。Type1子宮体癌の早期予測のためには、低侵襲で感度の高い検出系の応用が必要である。このため、DNAメチル化マーカーは検出に対し安定であり、低侵襲のスクリーニング法として月経血からの検出系の確立も並行して推進する。
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Causes of Carryover |
症例頻度の低い前向き症例を用いた追加検証を実施したため、年度内に解析の完了に至らず次年度繰越が生じた。年度内に開始した解析は現在進行中であり、年度を跨いでの解析完了となったため、次年度繰越予算で費用を計上し使用する予定である。なお、追加で検体も収集継続しており、症例が得られ次第追加解析を実施する。
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