2021 Fiscal Year Research-status Report
キスペプチン発現解析によるメラトニンの思春期抑制機構の解明
Project/Area Number |
21K09460
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
託見 健 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (40553269)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メラトニン / 黄体形成ホルモン / キスペプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
松果体から分泌されるホルモンであるメラトニンは哺乳類の思春期の開始を遅らせると報告されており、幼若期に生殖機能の抑制に働いていると考えられている。しかしながら、メラトニンがどのようなメカニズムによって思春期の開始のタイミングに関わるのかは明らかでない。本研究では哺乳類の思春期の開始に必須の神経ペプチド、キスペプチンの発現におけるメラトニンの影響を解明することを目的とする。まず、生後2週齢からメラトニン投与実験を行った。対照群とメラトニン投与群の間で体重変化に違いはなく、メラトニン投与が全身の成長へ与える影響は小さいと考えられた。4週齢、5週齢でサンプリングを行い、血液、脳、下垂体、性腺のサンプルを得た。血液サンプルを用いて黄体形成ホルモンの測定を行ったところ、4週齢では両群ともほとんどの個体が低い値を示した。5週齢の対照群では高い値を示す個体が複数みられたが、メラトニン投与群ではそのような個体はみられなかった。これらの結果から、メラトニン投与により黄体形成ホルモン分泌を促進する性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌が抑制されたと考えることができる。本研究課題の標的分子であるキスペプチンは性腺刺激ホルモン放出ホルモン分泌を促進するため、メラトニン投与により視床下部におけるキスペプチン発現が抑制されている可能性が示唆された。今後、得られた脳サンプルを用いて、組織学的手法によりキスペプチン発現を解析する。また、性腺の形態計測、組織解析も行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験対象とする幼若個体を得るために動物の交配を行ってきたが、産子数、性比のバラツキがあり、松果体除去手術群のサンプル数を確保できなかった。また、キスペプチンタンパク検出のために用意していた抗体を用いた免疫染色像が先行研究と一致せず、組織学的な解析が進められなかったため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
松果体除去実験を行い、メラトニン投与実験のサンプルとともに視床下部におけるキスペプチン発現の解析を進める。キスペプチンタンパクの検出に利用可能な抗体の検索とテストを進めるとともに、RNAプローブを作製し、in situ hybridizationによるmRNA発現解析を行う。
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Causes of Carryover |
サンプリングが予定より遅れ、購入済みの抗体の使用の見送りなどにより、実験の進捗に遅れが生じたため。is situ hybridizationによる解析を優先し、必要な試薬類の購入に使用する予定である。
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