2022 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症発生仮説としての「子宮内膜移植説」の解明:腹膜由来分子の役割に注目して
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21K09471
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
谷口 文紀 鳥取大学, 医学部, 教授 (40322218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 省 鳥取大学, 医学部附属病院, 教授 (40218649)
中村 和臣 鳥取大学, 医学部附属病院, 特命助教 (90598137)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / モデルマウス / 腹膜組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】子宮内膜症モデルマウスの腹膜組織における遺伝子発現解析により、初期病変の腹膜への接着・浸潤過程に関わる因子を同定し、その役割について検討した。 【方法】自然周期の7週齢BALBマウスを用いてモデルマウスを作製した。病変辺縁から径2mmまでの腹膜組織を病変周囲腹膜(PAC)とし、病変から離れた腹膜組織(PE)と比較した。子宮移植後3日の腹膜組織から抽出したtotal RNAよりcDNAを得た。PCRアレイを用いて、接着・浸潤関連遺伝子発現をスクリーニングした。大きな発現変化がみられたテネイシン(Tnc)のノックアウト精子を用いた体外受精により、雌ノックアウトマウス(Tnc-KO)を作製した。病変接着は子宮組織移植後3日での開腹所見で、腹腔内マクロファージの分布はフローサイトメトリーで評価した。ヒト腹膜細胞(HMrSV5)と子宮内膜症患者の子宮内膜間質細胞による共培養系を用い、siRNA導入による遺伝子発現抑制が細胞浸潤におよぼす影響をみた。 【成績】PACではPEに比してTncの著明な発現増強を認めた。ドナーとレシピエントが野生型マウス(WT)の群(WT-WT)に比して、双方がTnc-KOの群(KO-KO)では接着した子宮内膜症病変数が約3分の1に減少し、浮遊子宮片数の増加がみられた。ドナーをTnc-KO、レシピエントをWTとした群(KO-WT)群とKO-KO群では、腹水中マクロファージのうちM1マクロファージの割合の減少と、M2マクロファージの割合の増加がみられた。Tnc-siRNA導入群では、対照に比して子宮内膜間質細胞の浸潤割合が約15%減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトマウス作成と検体採取も安定しており、おおむね計画通り進行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト検体と腹膜培養細胞を用いた成績を固めて、論文作成にかかる。 病変接着能の低下しているテネイシンノックアウトマウスの腹膜組織や病変組織に特徴的な因子を探索するために、次世代シークエンサーによる検討を計画している。
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