2022 Fiscal Year Research-status Report
短鎖脂肪酸投与による子宮内Treg細胞誘導による女性不妊症に対する治療戦略の開発
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21K09488
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
川越 淳 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (60375342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 智 山形大学, 医学部, 教授 (00292326)
太田 剛 山形大学, 医学部, 准教授 (50375341)
竹原 功 山形大学, 医学部, 助教 (80642496)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胚着床 / 制御性T細胞 / 短鎖脂肪酸 / 不妊 / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠初期に子宮内膜が胚受容能を獲得する際には、胚に対して免疫寛容状態が誘導される事が重要で,制御性T細胞(regulatory T cell: Treg)による免疫応答の抑制が重要な役割を果たしていると考えられている。正常妊娠においてはTh17細胞の機能が抑制されTreg細胞優位となり免疫学的に寛容になるが、原因不明不妊の女性ではTh17細胞優位な免疫学的に不寛容な状況であると報告されている。しかし、免疫寛容の異常となる原因やその治療法は未だ確立されていない。最近、短鎖脂肪酸の摂取がT細胞の分化誘導を介し、全身の免疫調節に関与すると報告されている。本研究では、短鎖脂肪酸の免疫調節機能を利用し、子宮内環境を免疫寛容に誘導し、子宮内膜の胚受容能障害を改善させる新たな治療戦略の確立を目的とする。はじめに、SPFマウスモデルを用い、雌マウスにあらかじめ塩のみを含む水を投与したコントロール群と、短鎖脂肪酸を混入した水を投与した実験群に分け、バックグラウンドの異なる雄マウスと交配させ、胚着床時期に子宮、傍大動脈リンパ節、血清をそれぞれ回収し、リンパ節および血液中のリンパ球の状態をflow cytometryにて比較検討した。短鎖脂肪酸の投与はプロピオン酸、酪酸、酢酸それぞれ単独投与した群と、3種の混合で投与した群を作成した。その結果、プロピオン酸を単独で投与した群では、血清と傍大動脈リンパ節におけるTreg細胞の有意な増加を確認でき、他の投与方法では有意な変化は確認できなかった。引き続き、短鎖脂肪酸投与による、子宮内環境に与える影響を胚着床時期である3.5dpcおよび5.5dpcそれぞれで、flowcytometryと免疫組織学的染色にて検討をおこなった。子宮におけるTreg細胞の発現を確認することが難しく、現時点では短鎖脂肪酸投与による有意な影響は確認できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、短鎖脂肪酸の投与により、1)子宮流入リンパ節や全身(血液中)におけるTreg細胞の発現量や割合、pTregとtTregの発現様式について変化が認められるか否か、2)子宮内のTreg細胞の環境が変化するか否か、3)変化を認める場合にそれが妊娠成績に影響を与えるか否か、同様に、4)変化を認める場合の他の子宮内での免疫調節機序へ与える影響、それぞれについて明らかにする予定である。初年度は、1)について、子宮の所属リンパ節におけるTreg細胞の増加を引き起こす短鎖脂肪酸の同定に至り、その実験方法と結果を確立させる事ができた。2年目においては、2)について、子宮内における短鎖脂肪酸の投与の影響を検討したが、雌雄マウスのbackgroundの組み合わせや、flowcytometryやIHCにおける有効な抗体の確認に難航し、短鎖脂肪酸投与における子宮内におけるTreg細胞の発現に対する影響について、有意な効果を確認できなかった。あらためて、短鎖脂肪酸が実際に子宮内のTreg細胞分布に与える影響について解析を進めている。同時に3)についてもマウスのメイティングを進めており、胚着床に対して短鎖脂肪酸投与が与える影響について解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、短鎖脂肪酸の投与により、1)子宮内のTreg細胞の環境が変化するか否か、2)変化を認める場合にそれが妊娠成績に影響を与えるか否か、同様に、3)変化を認める場合の他の子宮内での免疫調節機序へ与える影響、それぞれについて明らかにする予定である。子宮内のTreg細胞の発現様式に変化が十分確認できない場合でも、子宮流入リンパ節中でのTreg細胞の分布には変化があるため、短鎖脂肪酸投与が妊娠成立(胚着床)や検事獲得へ与える影響について、検討を行う。具体的には、雌マウスにあらかじめ塩のみを含む水を投与したコントロール群と、短鎖脂肪酸を混入した水を投与した実験群に分け、バックグラウンドの異なる雄マウスと交配させ、胚着床成立した時期である5.5dpcに子宮を回収して確認を進める。それらの解析が予定通り進捗した場合、短鎖脂肪酸投与による免疫寛容誘導が子宮内の炎症の抑制に関与するか否かについて、慢性子宮内膜炎モデルとしてLPSを腹腔内に投与したマウスモデルを用いて、短鎖脂肪酸の投与により炎症が抑制されるか否か検討を進める予定である。
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