2022 Fiscal Year Research-status Report
卵巣線維化を改善し卵胞閉鎖に抗する新規治療法開発とそのメカニズムの解明
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21K09489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平池 修 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20529060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦田 陽子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20572598)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 卵巣 / 明細胞癌 / グルタチオン / 蛍光プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
当初予定の研究は、他の研究との関連で、以下記載の内容の研究を旧年度おこなった。卵巣明細胞癌(CCC)は活性酸素種に富む卵巣子宮内膜症性嚢胞内で発生、増殖し、グルタチオン(GSH)を中心とした抗酸化経路活性化が発癌および化学療法抵抗性に関与し得る。CCCの代謝依存性を解明し、癌細胞と非癌細胞の代謝バランスを利用した新規蛍光プローブの適用可能性を検討した。CCCと同一症例内正常卵巣組織のペア検体を用いてメタボローム解析および代謝関連酵素の発現解析を行ない、GSH産生に重要なGGT活性を緑色蛍光として検出する蛍光プローブ(gGlu-HMRG)を用いて、蛍光イメージング実験を行ったところ、CCC組織においては還元型GSHやGSH構成アミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)の取り込み増加、GSH合成関連酵素の上昇によりGSH代謝が亢進していた。CCCにおけるGSH合成阻害は、過剰な酸化鉄が誘導する細胞死であるフェロトーシスを誘導した。CCCの手術検体12例にgGlu-HMRGを散布し組織イメージングを試みたところ、腫瘍と正常卵巣組織を明瞭に区別することが可能であった。CCCにおけるGSH代謝依存性は治療標的になりうる。また、gGlu-HMRGは他癌腫ではすでに臨床応用されており、術中蛍光標識による残存腫瘍低減を目指した臨床応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に示した研究は現在投稿し査読結果を待っている状態である。今年度も継続している課題である。また、線維化研究は子宮組織に変更しておこなう予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮組織における線維化を標的として、子宮内腔癒着の予防および治療に関する研究を今年度はおこなう予定としている。卵巣に関する研究は、早発卵巣不全症POIマウスの卵巣線維化に変えて今後同時並行にしておこなう予定である。
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Causes of Carryover |
研究内容の変更に伴い持ち越しになった資金が発生した。
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