2023 Fiscal Year Annual Research Report
小児と成人の卵胞発育の差異に適応させたヒト卵胞培養系の開発
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21K09494
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥宮 明日香 京都大学, 医学研究科, 助教 (70893791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 昭史 京都大学, 医学研究科, 講師 (30535836)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒト卵巣器官培養 / ヒト卵胞培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス、ヒトともに、再現性のある卵胞培養系の確立が研究遂行にあたり重要であったので、詳細に検討し、培養系に関して一定の成果を得た。培養系について論文投稿準備中である。 ヒト卵巣は、ある程度しっかりした量の卵巣組織があっても、そこから機械的に回収できる二次卵胞数は非常に少ないことがわかった。卵巣組織切片の評価を行うと、大部分が原始卵胞であり、二次卵胞を用いた実験をするためには、卵巣組織切片における原始卵胞を培養によって二次卵胞まで成長させる必要性が判明した。このため、卵巣組織切片の培養を中心に実験を行った。卵巣組織切片の培養は、薄切したうえで気相液相境界で8週間ほど培養すると、いくつかの二次卵胞が得られた。切片のまま培養を継続すると一部は胞状卵胞にまでなるようだったが、以降の成績がよくないので、二次卵胞を単離して培養の方針とした。二次卵胞の培養について既報の再現性がないことがわかったので、マトリゲルに埋没して培養するなど試行錯誤の結果、一部は十分な大きさの胞状卵胞に達するようになった。なお、in vitroの培養に並行して、倫理委員会の承認のもと、ヒト卵巣組織をマウスの腎皮膜下へ異種間移植し、卵胞の生存状況、発育状況を評価したが、今のところ一定期間生存するものの、卵胞の発育には乏しい結果である。このため卵巣器官培養によって回収した二次卵胞を単離し、マトリゲルに埋没して培養する方針で培養系の最終調整をしている。 ヒトと実験条件を揃えるために、原始卵胞を豊富に含む日齢3のマウス卵巣を組織培養し、二次卵胞を得た。二次卵胞の体外培養では、12日間ほどの培養で順当に胞状卵胞が得られるが、卵母細胞卵丘細胞複合体の体外成熟の成績が実験回によって安定せず、条件検討を続けた結果、概ね安定して成熟が得られるようになった。 マウス、ヒトともに、今後は上記の培養系を用いて機能実験を行う予定である。
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