2021 Fiscal Year Research-status Report
elucidation of the mechanism of labor, derived from the intrinsic NF-kB inhibitor protein
Project/Area Number |
21K09515
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧内 剛 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (40733358)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 一起 大阪大学, 産業科学研究所, 特任准教授 (40177085)
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90240845)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 分娩発来機構 / MTI-Ⅱ / NF-kB / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
分娩発来機構には、炎症などを調節する転写因子であるnuclear factor-kappa B (NF-κB) の関与が報告されているがその分子機序は明らかではない。そのため、炎症関連性妊娠合併症に有効な治療法を確立できていない。我々は、哺乳動物に普遍的に存在する核内タンパクMTI-II(Macromolecular Translocation Inhibitor-II)が特異的にNF-κBのp50 サブユニットに直接結合しNF-κBの転写活性を阻害することを報告した。妊娠と内因性MTI-IIの関与を検討した報告は見られない。本研究ではMTI-IIによるNF-κBを介した分娩制御機構の解明と、MTI-IIの活性部位を利用したペプチド(6A-8R) による炎症関連性妊娠合併症への治療効果・安全性の検討、の2点を目的とする。 今年度は、妊娠中と分娩前後のマウス・ヒト検体でのMTI-II発現の検討と、リポ多糖類(LPS)を用いた炎症誘発性マウス早産モデルに対する6A-8Rの早産抑制効果の検証を行った。マウスにおいて、分娩の進行とともに子宮・胎盤におけるMTI-II発現量の変化が見られた。続いて妊娠15日目のマウスの胎盤組織から免疫細胞集団を分離し、single cell RNA-Seq解析を行い、MTI-IIが高発現している細胞集団を見出した。ヒトにおいても、陣痛発来前に予定帝王切開となった正期産妊婦と、陣痛発来後に経膣分娩となった正期産妊婦の胎盤におけるMTI-II発現量を比較したところ、陣痛の有無によりMTI-IIの発現が異なっていた。 早産抑制効果の検証として、炎症誘発性マウス早産モデルに対し、6A-8Rを経腹投与もしくは経膣投与を行い、早産抑制効果があることを見出した。また、6A-8R投与群でMTI-II発現量が抑制される傾向があることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MTI-IIは通常のウエスタンブロット法では検出が困難なタンパクである。共同研究者である岡本が開発した検出方法により培養細胞での検出は確立していたが、ヒト・マウスでの子宮・胎盤などの組織からの検出方法を確立するのに時間を要した。しかし、概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
炎症誘発性マウス早産モデルおよび、マウスマクロファージ細胞株であるRAW264.7を用いて、分娩前後でのMTI-IIの発現およびNF-κB活性の比較検討や、6A-8R投与によるNF-κB活性への影響をさらに検討する。 まず、炎症誘発性マウス早産モデルに対する6A-8R投与によるNF-κB活性の変化を比較検討する。子宮・胎盤・腹水におけるNF-κB活性を、MTI-II発現量とあわせて比較検討を行う。また、子宮脱落膜・子宮筋層・胎盤実質・羊膜におけるMTI-IIとp50の発現・局在を比較検討する。RAW264.7に6A-8R投与および一過性トランスフェクションを用いたMTI-II過剰発現によるNF-κB活性への影響を比較検討する。また、6A-8R投与に対する母仔の安全性を検討する。加えて、分娩前後のヒト胎盤・羊膜におけるMTI-Ⅱ・NF-kB活性の比較検討も進める。 また、LPS投与モデルマウスへの6A-8R 投与による新生仔脳障害・サイトカイン誘導性肺炎の治療効果・安全性の比較検討も進める。
|
Causes of Carryover |
研究計画の遅延に伴い、当初予定していた実験を実施できなかった。次年度に実施予定である。
|