2021 Fiscal Year Research-status Report
Determination of the mechanism of diminished ovarian reserve by local ovarian inflammation via surrounding ovarian stroll cells
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21K09521
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北島 道夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (50380845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 百合子 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40380901)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 卵巣予備能 / 卵巣間質組織 / 初期卵胞発育 / 炎症 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣組織における炎症および線維化が,卵巣皮質に存在する初期卵胞および周囲の間質組織の恒常性に与える影響を検討する目的に,ヒト卵巣皮質組織をヌードマウスに移植し3ヶ月後に摘出して組織構築の変化を解析した.ヒト卵巣組織は凍結保存していた組織切片を融解して用いた.一部の移植ヒト卵巣組織において初期卵胞の発育が認められたが,多くの移植組織では著明な線維化の亢進と正常卵巣組織の消失が認められた.卵胞発育が認められた組織においても卵胞周囲の皮質特異的間質細胞の減少が認められた.これらは移植組織片での炎症や虚血・再環流障害によるものと推察されたが,組織損傷が凍結融解によるものか移植によるものか検討が必要と考えられた. このため,これら線維化に影響する要因として組織のアポトーシスをTUNEL法を用いて検討した.線維化した移植組織ではTUNELシグナルの亢進は認められなかったが,保存された凍結組織を融解した移植前の組織では摘出直後に保存された組織に比して,皮質間質組織におけるTUNELシグナルの亢進が認められた.移植後の組織の炎症に加えて,凍結および融解が組織に与える影響も考慮する必要があることが示唆された. 若年の婦人科悪性腫瘍の患者からインフォームドコンセントを得て卵巣組織を採取し検体を収集を試みたが,原始卵胞を有する卵巣組織を提供可能な若年症例が少なく,予定した凍結包埋検体が得られなかった.このため凍結包埋切片を用いたLCMでの実験プロトコールの有効性を十分には検証できなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
卵巣組織の移植モデルの効率が悪く線維化に至る過程の評価が十分にはできていない. 手術症例における社会的背景から若年女性の卵巣組織検体が十分得られず実験に供することができていない. 凍結包埋卵巣組織を使用したLCMにより卵胞周囲の間接組織を切り出してRNAを抽出する適切なプロトコールの設定が難しい.
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Strategy for Future Research Activity |
ヌードマウスへのヒト卵巣組織移植モデルでは線維化に至る過程を十分には評価できていないので,マウスを用いた実験に並行して、卵巣組織の短期培養実験を行う.皮質組織に物理的損傷を与えたうえで組織炎症を惹起し,皮質組織の組織形態の変化,原始卵胞の活性化あるいは周囲間質のアポトーシスの状態を検討する.また,これらの短期培養系を用いて,凍結および融解処置が卵巣組織に与える影響を検討する. 検体収集に務めLCMにより採取した組織からRNA抽出を試みる.
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Causes of Carryover |
本年度は得られた新たな組織検体が少なく,主に保存していた検体を用いて動物実験を行ったため実験に要した経費が少なかった. 次年度は検体収集の強化と新たな実験系の導入等により研究内容を充実させていく予定である.また,人員が必要な場合は研究補助が可能な人員を雇用する.社会的状況から学会等での発表や意見交換のための旅費が必要なかったが,次年度以降はより活発に研究活動を進めたい。 よって,繰り越し額は実験に用いる消耗品,研究補助者の人件費,学会等の旅費に充てる予定である.
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