2021 Fiscal Year Research-status Report
周産期予後不良因子であるGBS感染症の迅速検出を目的とした等温核酸増幅技術の開発
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21K09525
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
牧野 真太郎 順天堂大学, 医学部, 教授 (70570894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 純 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60813459)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GBS感染症 / 周産期死亡 / 新生児B群溶血性レンサ球菌感染症 / 等温核酸増幅法 |
Outline of Annual Research Achievements |
遅発型GBS感染症の感染経路の仮説として産婦や医療従事者の接触や飛沫を介した水平感染の可能性が考えられる。そこで、新生児に接触しうる医療従事者のGBS保菌率や保菌部位に関する検証を実施した。当院の産科病棟で新生児に接触しうる医師および看護師を対象とした。対象の基礎情報として性別、年代、GBS感染既往歴、新生児との接触頻度などを収集した。口腔、手指皮膚表面および肛門から滅菌スワブを用いて起床直後に自己採取により検体を採取し回収した。検体は液状増菌培地に懸濁し37℃で19時間好気培養した後、GBS選択培地に画線塗抹し37℃で24時間培養した。1次判定は24~48時間後に実施し、48時間までに陽性判定としたコロニーを釣菌し、ヒツジ血液寒天培地に画線塗抹し37℃24時間培養で溶血環のあるコロニーをGBS陽性と最終判定した。また増菌用培地の一部はGBSに特異的なdltS遺伝子をターゲットとしてPCRを実施した。培養法およびreal time PCR法の少なくとも1法でGBS陽性と判定された対象者は9名(17.6%)であった。採取部位別のGBS陽性率は、口腔3.9%(n=2)、皮膚(手指)3.9%(n=2)、直腸15.7% (n=8)であり、年代や性によって違いは認めなかった。3部位全てでGBS陽性となった対象者はいなかった。直腸で陰性であった1名では口腔と皮膚(手指)の2部位でGBS陽性となった。2部位以上でGBS陽性となったのは3名(5.9%)であった。直腸を含む複数部位でGBS陽性の場合、全ての対象者で、同一対象者の他部位と比較して直腸の相対菌量が多かった。今回の研究では常在部位である肛門だけでなく、口腔や皮膚からもGBSが検出され、水平伝播の経路の可能性が示唆された。またGBSの検出はPCRで優位に検出率が高いことが示され、核酸増幅による検出の有用性が証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊婦での検証を実施する前の条件検討として、水平伝播可能性に関するサーベイランスを実施した。この結果、常在部位以外の保菌も示唆されたため、後続する妊婦に対するサーベイランスの方法として検体採取部位、採取法、PCR条件を最適化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、GBS検出のための等温核酸法のPrimer設計は進んでおり、莢膜型判定や薬剤耐性の検出のためのprimer設計も合わせて進めていく。今後医療従事者の先行データに基づき、妊婦を対象とした検体の採取のプロトコールを最適化し、検体の採取を開始する。
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Causes of Carryover |
医療従事者の研究参加数が想定数に達しなかったため予算の残額が発生した。これにより妊婦の研究参加数を増員し、次年度予算への合算として使用することとした。
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