2023 Fiscal Year Annual Research Report
周産期予後不良因子であるGBS感染症の迅速検出を目的とした等温核酸増幅技術の開発
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21K09525
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
牧野 真太郎 順天堂大学, 医学部, 教授 (70570894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 純 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60813459)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GBS感染症 / 周産期死亡 / 新生児B群溶血性レンサ球菌感染症 / 等温核酸増幅法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までにスマートアンプ法を活用したGBS核酸検出、莢膜型判定が可能な高精度GBS検出系を確立した。さらにPOCT パイロット実験では、検体採取から40分以内に核酸増幅検出までの全工程を達成し、対象とした全陽性検体を正しく検出しえ、製造販売申請に向けて企業との共同研究を進めている。 本研究期間において、同意取得した530組の妊婦およびその児を対象とし、GBSの保菌率に関してサーベイランスを実施した。産前36週、分娩時、産後3日目の母体腟直腸擦過検体、および児の口腔/直腸擦過検体は、出生時、日齢3日目、日齢30日目に採取した。 各検体は、核酸検出および/または培養によって評価した。 検出用核酸は、濃縮培養なく検体懸濁液から直接精製した。この結果、母体の産前GBS保菌率は核酸検出で18.6%、培養で16.1%であった。 全症例の 10.7%は、産前と分娩時の検出結果が不一致となった。このうち7.1%は陰性から陽転化しており、IAP(Intrapartum antibiotic prophylaxis)が実施されず、GBS伝播のリスクが高いケースと考えられた。 また分離GBSの莢膜型分布は母体と新生児で異なり、母体はV型が最多、新生児はIa型が最多であった。さらにGBS陰性母体であっても、その新生児の 5.6% で GBSは検出された。 既報の通り核酸検出法は培養よりも高い検出精度を示した。GBS陰性母体の新生児からのGBSの分離は、出生後の水平感染の可能性を示唆する。 さらに本新規核酸検出法は濃縮培養工程を伴わず直接検出可能であり、分娩時のポイントオブケア検査として有効といえた。
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