2023 Fiscal Year Annual Research Report
ドラッグリポジショニングによる卵巣がんの新規治療法の探索
Project/Area Number |
21K09534
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 聡子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40609872)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レセプトデータ / がん / ドラッグリポジショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌は、早期発見が困難であり、予後不良の癌である。進行例での再発率は高く、再発した卵巣癌は化学療法に抵抗性である。さらに、日本人に比較的多い明細胞腺癌では初発時も化学療法が奏功しにくい。既に卵巣がん細胞株由来の三次元培養モデルを用いて、既知薬理活性物質のライブラリーのスクリーニングを行い、候補となる化合物を同定した(科研費18K09283)。本研究では、これらの候補のうち、日本で認可されている医薬品について、レセプトデータ(診療報酬明細書)を含む医療データベースを用いて、卵巣癌をはじめとする悪性腫瘍の発症との関係を解析した。候補となる薬剤について、以下の方法で検討を行った。最初に悪性腫瘍の確定病名が付与された日を悪性腫瘍の発症日と定義した。候補薬剤と同じ疾患に対して処方される薬剤を対照薬剤とした。候補薬剤または対照薬剤のどちらかを新規に処方された、処方開始時20歳以上の患者を対象とし、いずれかの薬剤を最初に処方された時点から観察を開始し、悪性腫瘍の発症または最終受診日のうち早い日まで追跡した。観察開始前に悪性腫瘍の病名が付与された者、候補薬剤と対照薬剤を同時に処方された者、初診から6か月以内に候補薬剤または対照薬剤が開始された者は除外した。背景因子として年齢、性別、併存疾患、他の処方薬、BMI、喫煙習慣などを考慮に入れた。ベースラインでの検査値がわかる場合はこれらの値も考慮に入れた。この際、目標となる無作為化比較試験になるべく近い条件で検討を行い、背景因子はIPTW法(Inverse Probability of Treatment Weighted)で調整した。
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