2022 Fiscal Year Research-status Report
Pregnancy-related mesechymal stem cells/exosome and prenatal diseases
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21K09543
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三浦 生子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (00404301)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 産科疾患 / 妊娠産物 / 間葉系幹細胞 / エクソソーム / 妊娠高血圧症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、産科疾患における妊娠産物由来間葉系幹細胞ならびにエクソソームの臨床的意義を明らかにすることを目的としている。これまでの研究で、胎盤特異的microRNAとしてchromosome 19 microRNA cluster (C19MC)を同定している。今年度は、正常妊娠と妊娠高血圧症候群とを鑑別可能な妊娠関連cell-free microRNAを同定することを目的とした。まず、正常妊娠ならびに妊娠高血圧症候群の妊婦より母体血を採取し、妊娠高血圧症候群は遅発型と早発型に分類し、それぞれの母体血漿中におけるC19MC領域のcell-free microRNA(miR-517a, miR-518bなど)流入量をRT-PCRで定量した。 8種類のC19MC領域のmicroRNAでは遅発型に比べ早発型で流入量が有意に増加していた。ついで、妊娠週数ごとの母体血漿中のC19MC microRNA流入量の基準値を決定し、正常妊婦44例、妊娠高血圧症候群33例の母体血漿中のmicroRNA流入量を定量した。正常妊婦例の多くは基準値範囲内にあり、妊娠高血圧症候群の多くは基準値より高値であった。母体血漿中の妊娠関連cell-free microRNAであるC19MC領域のmicroRNAは、妊娠高血圧症候群の分子マーカーとなり得ると示唆された。 また、妊娠由来間葉系幹細胞として、胎盤由来間葉系幹細胞、臍帯由来間葉系幹細胞ならびに脱落膜由来間葉系幹細胞を培養し、それらにおけるC19MC microRNAの発現量を解析したところ、胎盤由来間葉系幹細胞において特異的に発現していた。RNAシークエンス解析を用いて、遅発型と早発型それぞれの胎盤由来間葉系幹細胞におけるmRNA発現解析を行ったところ、早発型と遅発型とで異なる遺伝子発現パターンを認める遺伝子の組み合わせを同定した。これらは妊娠高血圧症候群のうち、早発型と遅発型との病態を鑑別する分子マーカーになりうると期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、胎盤特異的microRNAとしてchromosome 19 microRNA cluster (C19MC)を同定した。そして、今年度は産科疾患として妊娠高血圧症候群に着目し、母体血漿中のC19MC microRNAが本疾患の分子マーカーになり得ることを明らかにした。また、C19MC microRNAは胎盤由来間葉系幹細胞で特異的に発現していることを明らかにし、早発型と遅発型とを鑑別しうるmRNA発現パターンを同定した。したがって、研究計画は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、胎盤特異的microRNAとしてchromosome 19 microRNA cluster (C19MC)を同定した。そして、今年度は産科疾患として妊娠高血圧症候群に着目し、C19MC microRNAが本疾患の分子マーカーになり得ることを明らかにした。今後は、母体血漿からエクソソームを抽出して、母体血漿中のエクソソームにおけるC19MC microRNAの発現パターンを明らかにして、妊娠高血圧症候群の病態をモニターしうる分子マーカーとしての臨床的意義を検討する予定である。また、胎盤由来間葉系幹細胞おいて、妊娠高血圧症候群のうち早発型と遅発型とを鑑別しうるmRNA発現パターンを同定したので、胎盤由来間葉系幹細胞におけるmRNA発現パターンの妊娠高血圧症候群における臨床的意義について検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は間葉系幹細胞とエクソソームの研究のうち、主に間葉系幹細胞についての解析を行った。間葉系幹細胞における遺伝子(mRNA)発現解析については、これまでの研究で得たRNAシークエンス解析の結果を使用したので、次年度使用額が生じた。次年度は、RNAシークエンス解析を用いた母体血漿中のエクソソームにおけるmRNAならびにmicroRNA発現解析、胎盤由来間葉系幹細胞におけるmicroRNA発現解析を行うための費用に充てる。
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