2022 Fiscal Year Research-status Report
子宮腺筋症の遺伝子発現プロファイルによる分類法の確立
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21K09547
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
岩井 加奈 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60588531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 有紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20588537)
松原 翔 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20825236)
川口 龍二 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50382289)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子宮腺筋症 / 筋線維芽細胞 / TGF-β |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮腺筋症は子宮筋層内に子宮内膜症細胞が侵入・増殖し、その結果として子宮筋に線維化を来すことにより子宮筋の肥大が生じる疾患である。肥大化した子宮は高率に過多月経や月経困難症を発症しquality of life(QOL)の低下を来たすのに加えて、不妊症の原因になる。子宮腺筋症を内膜基底層が筋層に直接入り込むと考えられる1型と、骨盤に発症した子宮内膜症が子宮外側から子宮漿膜に浸潤する2型に分類される。発症予防や新規治療を確立するためには子宮筋の線維化機序の解明が不可欠であるが不明瞭な点が多い。本研究は子宮腺筋症の線維化機序の解明を目的としている。 子宮腺筋症は上皮間葉転換(EMT:epithelial–mesenchymal transition)、線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化(FMT:fibroblast-to-myofibroblast trans-differentiation)、線維筋組織内の平滑筋要素(SMM:smooth muscle metaplasia)によって特徴付けられる。腺筋症ではマクロファージとNK細胞の増加により、炎症性サイトカインが増加している。サイトカインによりEMTおよびFMTが促進され線維化を引き起こすと考えられる。線維化マーカーとしてTGF-β、Notch1、NTRK2およびOXTRをターゲットとした。TGF-β、Notch1、およびOXTRは脱落膜化にも関与している可能性があり、これも腺筋症発症の原因となる可能性がある。当院において手術により摘出を受けた子宮腺筋症を術前画像検査および病理組織学的に1型および2型腺筋症に分類を行い、1型子宮腺筋症と2型子宮腺筋症症例において、子宮腺筋症患者の子宮内膜および異所性内膜をこれらの線維化マーカーを用いて免疫組織学的な発現の差を検討している。現在症例集積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線維化マーカーをしぼり研究を進めているが、子宮腺筋症の線維化に関する因子の同定や線維化の機序の解明までは至っておらず、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は子宮腺筋症の形態(屈曲や大きさ、筋層の厚み)と症状との関連を調査した。本年は子宮腺筋症の発症が、脱落膜化の異常と関連があると考え、そこから子宮腺筋症の線維化と関連する因子をしぼりこんだ。今後はそれらのターゲットが、子宮腺筋症検体での発現の差を検証しそこからの線維化への機序を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れており使用予定であった免疫組織染色関連費用や細胞株に使用予定であった費用が使用できなかった。次年度に免疫組織染色や細胞株の実験を予定しており、使用予定である。
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