2021 Fiscal Year Research-status Report
転写因子HOXD9が子宮頸癌の悪性形質に関与する分子機構の解明と治療法の開発
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21K09550
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷本 慧子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30897377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 卓 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30296652)
加藤 侑希 日本大学, 医学部, 助教 (60733649)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HOXD9 / 子宮頸癌 / HPV18型 |
Outline of Annual Research Achievements |
Homeobox (HOX)familyはDNA結合部位homeobox domainを有する転写遺伝子群である。今回、HPV18型陽性の子宮頸癌細胞株であるSKG-I 株とHela株を用いてHOXD9がHPV18型の初期プロモーターであるP105プロモーターを介して細胞の悪性形質に影響を与えているか検討し、その分子機構の解明を行った。 子宮頸癌細胞株であるSKG-I 株とHela株でHOXD9遺伝子の発現を抑制したところ、細胞増殖が著明に抑制された。遺伝子発現解析では、HPVのE6遺伝子発現は抑制されていたが、P53遺伝子の発現は変化せず、一方でP53タンパクの発現は増強していており、フローサイトメーターによる解析ではアポトーシスが誘導されていることが示された。以上よりHOXD9の抑制によりE6遺伝子発現が低下し、P53タンパクの分解が抑制されることで、P53pathwayが活性化されたと考えられた。次に、E7遺伝子の発現を検討した。HOXD9の発現抑制により、E7の発現は低下したが、Rb1およびその標的転写因子であるE2F遺伝子の発現は変化せず、さらにE2Fの標的遺伝子であるMCM2とPCNAの発現は低下した。以上よりHPV18型陽性子宮頸癌において、HOXD9の抑制によりE6およびE7遺伝子の発現が抑制され、その標的遺伝子であるP53とRbが活性化され、アポトーシスが誘導されるとともに、細胞増殖が抑制されることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HOXD9が、HPV18型の初期プロモーターであるP105プロモーターを正に制御していることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
HOXD9がP105プロモーターに直接結合するか、他の分子を介して影響を及ぼしているのかをインベーダー法およびhromatin immunoprecipitation assay(Chip assay)によって解明する。また、HOXD9によるP105プロモーター活性化を抑制する薬剤スクリーニングを行い、新規治療法の開発を目指す
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