2023 Fiscal Year Annual Research Report
難治性好酸球炎症における新しいプログラム細胞死を標的とした治療法の開発
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21K09563
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
太田 伸男 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (20282212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 裕子 羽陽学園短期大学, 幼児教育科, 非常勤講師 (40442016)
佐藤 輝幸 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (30400493)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / 好酸球性中耳炎 / EETOSIS / DNA traps |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性炎症の病態におけるETosisの役割を明らかにし関与する分子を標的とする治療方法を確立することは、好酸球性副鼻腔炎だけでなく難治性気管支喘息などの致死的な疾患の病態の解明と新しい治療方法への波及効果が期待される。好酸球性副鼻腔炎患者から得られた組織標本のEEtosisについて測定する。EEtosisはDNAを染色し、共焦点顕微鏡にてその局在と核崩壊の程度を評価する。好酸球性炎症疾患の疾患活動性とEEtosisとの関連性について検討を行った。特に、好酸球性副鼻腔炎症例で特に薬物抵抗性かつ術後に早期に再発を来した症例から得られた鼻粘膜組織中のEEtosisの様式や好酸球性炎症が中耳から内耳へ進展した症例の中耳組織のEEtosisの程度と難聴の程度との関連性を検討し、EEtosisが好酸球性副鼻腔炎の再発あるいは好酸球性中耳炎の内耳障害のバイオマーカーとなる可能性についても検討した。その結果、好酸球性副鼻腔炎および好酸球性中耳炎の鼻腔粘液と中耳貯留液ではEEtosisが確認された。EEtosisを誘導する因子としてぺリオスチンが関与している可能性が示唆された。さらに術前に得られた血中のペリオスチンの濃度が130μg/ml以上の症例で有意に再発が高い傾向があり、予後診断のバイオマーカーの可能性があることが示唆された。新しいプログラム細胞死であるEEtosisでは、好酸球は刺激によって活性化され、細胞膜は破れ、核の崩壊が生じてDNAと組織障害性蛋白であるECPなどが細胞外に放出される。好酸球性副鼻腔炎における炎症の重症化及び遷延化にEEtosisが関与している可能性が示唆された。EEtosisの関与分子であるぺリオスチンとDNAを標的とした治療法を新しく展開することで好酸球性副鼻腔炎だけでなく気管支喘息などの治療への波及効果が期待される。
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