2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of stem cell heterogeneity and pathological progression in middle ear cholesteatoma
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21K09566
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高田 雄介 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60623999)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中耳真珠腫 / 幹細胞ヘテロジェネイティ / 表皮幹細胞 / 先天性真珠腫 / 錐体部真珠腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
中耳真珠腫は、中耳腔に上皮が陥入することにより上皮落屑が堆積し、感染増悪とともに周囲の骨破壊を来す疾患である。近年、真珠腫検体に幹細胞の発現性が高いこと、真珠腫検体からの幹細胞が炎症性刺激に対して強い感受性を示すことから、真珠腫の病態増悪の誘因として幹細胞が関与することが示唆されたが、その機序は未だ明確にはされていないのが現状である。今回、実際の手術で得られるヒト中耳真珠腫を研究対象とし、中耳真珠腫の幹細胞ヘテロジェネイティ解明ならびに幹細胞の分化メカニズムの究明について研究をすすめている。 中耳真珠でも症例に応じて耳小骨の骨破壊が軽微なものから顔面神経や内耳、あるいは深部錐体骨へ進展を認めるものなど骨破壊の程度は様々である。くわえて先天性や後天性の区別もあることから、同一疾患であってもその性質は多種多様であり、幹細胞の解明も病態毎に検討が必要と考えている。 現在、外耳道からの感染による影響が少ない先天性真珠腫と、外耳道からの上皮陥入が炎症増悪の原因となる後天性真珠腫に区分し、耳小骨の破壊の程度や内耳破壊の有無などの進展度に応じた検体サンプリングを行っている。 後天性真珠腫であっても、その病態の進展範囲や骨破壊所見は症例毎に様々である。後天性真珠腫の中でも、中頭蓋窩に広範囲に進展して骨破壊を呈し、脳硬膜が広く露出した症例のサンプリングを行い得た。また、外傷に伴う中耳手術後に長期経過を経て緩徐に病変が進展して側頭骨の広範囲に進展した再形成性真珠腫と考えられる後天性真珠腫のサンプリングも行い得た。病態進展が広範囲に及ぶ骨破壊性の顕著な真珠腫症例のサンプリングを蓄積した。 採取した検体は凍結保存されており、各進展度に応じた検体採取が執り行われた後に、凍結切片を作製して、幹細胞の特徴とされているNestinおよびS100B陽性細胞の発現と局在性について顕微鏡による確認と検証を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
口頭および書面同意を得た中耳真珠腫患者から、手術時に摘出される中耳真珠腫を得た。中耳真珠腫でも病態や進展度は様々であり、検体サンプリングには様々な病態を確保する必要があると考えている。真珠腫において病変進展により中頭蓋窩へ病変進展が著明で硬膜が露出している貴重な症例のサンプリングが施行しえた。 一方で外耳道からの感染の影響が少ないと考えられる先天性の小児中耳真珠腫の症例のサンプリング採取は難航している。もともとの症例数が決して多くない症例であることもあるが、コロナ禍以降の手術件数への影響が少なからずあると考えている。 真珠腫性中耳炎という一つの疾患であっても、その病態は症例毎に様々であり、骨破壊の進んだ症例のサンプリングが重要である。手術症例が限られている中で、中頭蓋窩硬膜の露出を認める症例や長期経過を経て緩徐に側頭骨全体に病変がおよぶ症例などの貴重な症例のサンプリングを行うことができた。 しかしながら、一定数の割合で研究協力への同意が得られない場合もあること、手術施行症例であっても適切かつ十分な検体採取が困難な症例もあることから、いまだ検討検体数が少なく十分な検証ができていない状況であるため、研究進捗状況は遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
中耳真珠腫検体の幹細胞の発現について、以下の仮説を立てて検索中である。 1)耳小骨の骨破壊が著明な症例ほど幹細胞の発現が高い、2)先天性真珠腫では正常な鼓膜が保たれており、とくに中耳炎の既往がない症例では炎症増悪を起こしていないため、幹細胞の発現が低い、3)顔面神経麻痺や内耳瘻孔、硬膜進展を伴うほどの骨破壊が著明な症例では幹細胞の発現が高い 今回、硬膜進展を伴うケースや長期経過によって側頭骨皮質骨まで破壊がおよんだケースなど、骨破壊が顕著な症例を複数サンプリングすることができた。検体サンプリングを継続するとともに、今後は得られたサンプリングの解析を推進する方針である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染の影響を受け、真珠腫手術の症例数が増加していないこともあり、十分な検体作成を推進することが困難であり、検体作成のために計上した物品費を満たすことができなかった。また、とくに国外の学会参加を見合わせることになり、出張費として計上した旅費を計画通り消費するには至らなかったこと等が原因と考えられる。 今後は現在までに得られている検体サンプリングを用いて、切片作製ならびに幹細胞の局在部位の解析を進める段階に移行する計画である。
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Research Products
(6 results)